6日目。四万十川〜須崎〜桂浜〜大歩危・小歩危〜吉野川〜徳島。260.0km。



雨、やまず。
とりあえず朝風呂って、朝飯。ノンジャーエールという特産のしょうがを使った瓶ジュースが美味い。



福岡〜東京 ツーリング 20150924 (1)
ベランダに出ると、木々の間から、宿の下をドドドと流れる黄土色の水。
天気情報を手当たり次第にあたってみたところ、集中豪雨的な降り方の分、ヤマは午前中に過ぎそう。
(意外に早く、雲が流れさってくれるかも……)と淡い期待を抱き、9:00頃まで居心地のいい部屋でうだうだ。
でも、勢い変わらず。
フロントのお姉さんに快く貸してもらったタオルで座席と荷台を拭き、出発。



福岡〜東京 ツーリング 20150924 (2)
山が吸収しきれなかった豪雨が、56号線までの細道のあちこちで溢れ、かつ、押し流されてきた砂利や岩まで散らばる。
特に勢いよく流れ出している箇所で、水深の浅そうなルートをサーチしていると、前からきた軽トラが止まり、さすまたっぽいのを担いだおじさんが登場。棒の石突のほうで深みをつつきだした。
「何してらっしゃるんですかーー?」と声をはりあげ、何ごとか応答してもらうが、雨の音とヘルメットで聞き取れず。



福岡〜東京 ツーリング 20150924 (3)
川のほうは、水深が昨日見た状態の3、4倍に。
昨日、水面から1mほどの高さの橋げたが見えていた、現存最古の沈下橋は完沈。
でも、こんな濁流をおそらく年に何度もくらいながら、それで80年流されないでいるって、すごいのな。



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最古の沈下橋から2、300mほど下流にかかってる別の沈下橋には流木がまとわりついていた。
日本最後の清流と言われようが、荒れるときは荒れると。



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56号線に出ても、山側から溢れ出してくる水流、砂利、岩の攻勢やまず。
開墾中の荒地のようになりはてた箇所もあったが、なんとかクリア。
攻勢は上からも。トンネルに入ると、上の割れ目から温泉のかけ流しのごとく水が放出されつづけている。
避けてスリップの危険を冒すよりはと、そのまま突っ込む。RSタイチのレインスーツの優秀さに助けられ、服までは濡れず。




しかし、奮闘も須崎(すさき)まで。
道路上の電光掲示板に「この先 冠水」の文字が流れているのを発見し、最寄の道の駅に退避。
タブレットPCで確認すると一帯に「大雨洪水警報」まで発令(注意報ではなく)。
(詰んだ……)と、ヘタレそうになったところに助け舟が。
開店準備中の店員の人たちに抜け道を聞いてまわったところ、地元の名主っぽいおじいさんから、近隣マップと周囲より嵩上げされた道路の極秘ルートを伝授される。
半信半疑でお礼をいい、一緒に話を聞いてた北海道からのツーリストの人と大雨の中、再スタート。
途中、別の冠水に阻まれた道路を一段高くなった脇のあぜ道を使って迂回し、確かに冠水はしていないものの強風と防波堤を超えてくる波に往生しながら浦ノ内湾を走り、荒れまくった土佐湾沿いの花街道を抜け、桂浜に到着。
地元の智恵に助けられた。
おじいさん、本当にありがとう。



福岡〜東京 ツーリング 20150924 (6)
道の駅のおじいさんの親切や、一緒に走った北海道ライダーの人の心強さがなければ、無事に龍馬像に会えたどうか。
一休みして、数十年前の日本一週で復帰直後の沖縄を走った時の昔話などを聞いた後、室戸方面へ行くというライダーの人と別れ、再出発。
日が出ているうちに宿に着くことを目標に、観光は二の次と、32号線を北上していく。
大歩危小歩危の峡谷、もっと見ておきたかったなぁ。



福岡〜東京 ツーリング 20150924 (7)福岡〜東京 ツーリング 20150924 (8)
ただ、そうはいっても巨木は見ておきたい。
それが、大杉という土地の巨杉神社にあるというなら、なおさら。
3,000年という樹齢に似つかわしい異様。
拝観料(200円くらい)を払った事務所のおばさんが話好きで、近くにあるという美空ひばり記念館の案内も受けるが、そちらはまた今度と丁重に。



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そのまま北上していくと高松に出てしまうところ、東に折れ、192号線の伊予街道に接続。
阿波加茂という場所で、今度は1,000年クス。
この時点ではもう大分、雨足が弱まってきていたが、体力もそれだけ消耗していたため、改めてこの先の無事をお願いする。



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ところで、巨木の枝分かれには、よく、なんだか正体不明な物体が鎮座させられている。
この1,000年クスもそう。
精霊信仰とか、そういう系統と関係ありそうだけど。




さらに飛ばし、雨雲で早まった日暮れが夜に切り替わろうとする寸前、徳島の宿に到着。
宿のおおまかな位置だけしか把握していなかったため、ここまで都会だと思っていなかった街中で案の定迷子に。
雨中走行の消耗度は通常時の1.5〜2.0倍の法則を実感した体が限界に近づいたところで、別のホテル名が見え(ここで聞いてみよ……)とふいっと路地に入ると、そのホテルの向かいが目的の宿という、TRPGで6D6全ゾロ目くらいの運を最後に発揮。
というか、どうも方向感覚が人より劣っていることをいい加減認めたほうがよい。




福岡〜東京 ツーリング 20150924 (15)福岡〜東京 ツーリング 20150924 (16)
宿のロビーや通路には、噂に聞いてたオタク町おこしのポスターがぺたぺた。
阿波踊りのほうは良さ気な感じだが、悩みを抱えた人がチャレンジするお遍路にこのくったくのなさはどうなんだろう。
半冠水の道路に突っ込んだとき、隙間から流れ込んだ泥水でがっぽがっぽになった防水ブーツにドライヤーを突っ込み、びらびらしとしとになったお札を一枚一枚テーブルの上に広げてから、風呂即布団。