but today, they're all gone.
見出しは、Steve Reichの組曲「Different Trains」に出てくるセリフ。
ユダヤ系アメリカ人で、第二次大戦の前〜中〜後を通してアメリカに暮らしたReichが、もしも欧州に暮らしていれば自分もあのホロコースト行きの列車に乗せられていたのかもしれない……という想いから作曲するに至った(という話)。
組曲は、戦前の“America”、戦中の“Europe”、戦後の“After the War”の3パートに分かれ、当時を経験した人々のナマ音声の録音素材が、コラージュ的に挿入される。
その3パート目で使われた、惨事をなんとか切り抜けた男性が戦後の現況を語るセリフの一つになる。
訳すと、「けれど、今ではもう、みんないなくなってしまいました。」といったところだろうか。
人の想像の枠を超える行為について膨大な記録が残された一方で、それを実の体験として語る人たちはどこかへ去ってしまい、あるいはあの世へ旅立ってしまった。
十数年前にこの組曲に初めて触れて、このセリフがずっと頭の片隅に残っている。
先週、はてなから、前々より告知されていたはてなダイアリー稼働終了のメールが届き、このセリフが頭の隅から浮かび上がってきた。
明日の1/28が、はてなダイアリーの更新が可能な最期の日。
自分がはてなダイアリーを始めた2004年8月から14年と5か月。いつかは来る日がいよいよやってきた。
はてなブログへの移行作業を進めながら、このはてなダイアリーでの最終エントリをつづっている。
はてなダイアリーの最盛期をあげるとすれば、トラックバックを飛ばしたり飛ばされたりし合っていた、2004年~2007年頃だろうか。
オタクを自認するならどの程度まで過去アーカイブがインストールされているべきかとか(http://d.hatena.ne.jp/bullet/20050213#p1、http://d.hatena.ne.jp/bullet/20050222#p1)、オタク歴史の定義論争とか(http://d.hatena.ne.jp/bullet/20060919#p1)、ラノ漫との袖すり合いとか(http://d.hatena.ne.jp/bullet/20070930#p1、http://d.hatena.ne.jp/bullet/20071002#p1)、ふりかえると懐かしい。
マンガ雑誌とマンガ単行本(エロ含む)を中心にばりばりエントリをあげていた自分の熱意もあふれており、毎日更新が当たり前だった。
別のブログサービスが次々と登場する中で、それらのサービスのどちらかというと軟派なイメージに対して、硬派とまではいかないもののどこかアカデミックな匂いを漂わせ、ロジカルな話が通じやすい人が集まっている印象をもてたはてなダイアリーを使っていることに、ちょっとした優越感さえ覚えていた。
人と話すとき、相手がブログと言うところ、ひとからげにされることに抵抗を感じ、あえてダイアリーとか表現にこだわっていたのも、今思い返すとほほえましい。
一昨日知ったが、同じ1月末で、エロマンガ発掘、購入の拠点にしていた秋葉原オータムリーフが約13年の歴史に幕を下ろす。
自分がはてなダイアリーを始めて2年後にあげた、開店当時のエントリ(http://d.hatena.ne.jp/bullet/20060331#p1)を読み返すと、エロマンガ誌のバックナンバーの在庫を気にしてたり、売れ筋のエロマンガ単行本の刷りが28刷目だとか、今は亡き新宿書店を愛用していたりと、隔世の感を抱かずにいられない。
手元のオータムリ―フのポイントカードに記載されてる残りポイント数は93ポイント。エロマンガの単行本1冊と交換できる量になる。けれど、もう使えないまま、他店に引き継がれることもないまま、1冊分のポイントはエロマンガの歴史に沈んでいく。
サンキュー、オータムリーフ。
サンキュー、はてなダイアリー。