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    • イタリアのみならず、世界最大最悪といわれる闇組織、カモッラの実態を追ったノンフィクションをベースにしたギャングスタムービー(ノンフィクションの原作者はカモッラから暗殺命令が出ている)。ギャングとしての矜持とかスタイルとか全く存在しない、カネだけが動機という現実を、爽快感皆無の銃撃シーンで描き出す。この映画ほど、乾いた軽い銃声が似合う映画も近年、なかったと思う。
  • ETV特集「「シリーズ イスラム激動の10年 第1回 “エジプト革命ラマダンに民主化は揺れた」(http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2011/1106.html
    • ムバラクを引きおろした、その後のエジプトでは、タハリールに集まった20-30歳代の若者たちによる自由主義と民主主義を求める声が、同胞団に象徴されるイスラム主義に押し戻されている、というストーリーラインで取り上げられていた。イスラエル大使館に押しかけた若者たちの無軌道さは、イスラム主義と対等に渡り合えない焦りも混じったもののように。数十年に及ぶムバラク時代の弾圧に耐え抜いて、貧しい人に喜捨する組織力と財力を兼ね備えたイスラム同胞団は、コプトとの和解にも着手し、着々と次期政権の構築作業に足場を築きつつある、という取り上げられ方をされていた。
      • けれど、自由・民主主義vsイスラム主義という構図がどこまで実態を反映したものなのか、自分は正直うたがっている。タハリールでムバラク妥当を叫んでいた、現在求職中の若い女性は、旧政権でやりたい放題だった検察の罷免を求めるビラをまいていたところ、イスラム主義の弁護士の年配の男性から、法に則ってやれと、イスラム教徒らしくしろと文句を受ける。女性がビラで追求したかった、イスラムの名の下に都合のよい解釈を押し付けてきた上層部の人間たちの過ちは横に置いたまま。女性は、頭を黒のベールでおおい、彼女自信も敬虔なイスラム教徒に見えた。不正を糾弾するのと、イスラムの教えは、直接の関係がなく、論点がずれているとしか言いようがない。旧政権の軍・官僚・政治家が責任を取らず、次期政権に横滑りしようとするから、結局、腐敗の繰り返し になる。その点には踏み込んでない番組だった(特に軍関 係)。
        • イスラム主義の台頭を心配するよりも先に、次期政権を誕生させるための選挙がちゃんと公正に行われるかどうか、軍の産業独占を解放できるかどうか、そういった点のほうがよほど問題にすべき。制度とシステムの公正さを。
          • 自由・民主主義とイスラム主義が相容れないという考え方があるとして、では、その考え方は、イスラム主義を抑圧してきたムバラクは自由・民主主義だったのか?という問いに応えられるのか。「イスラム主義をのさばらせないためには、自由主義や民主主義より、独裁が優先されてしょうがないんだ」とムバラクは言い訳してきたんじゃないか?(もちろん、サウジやシリアといったモノホンのイスラム主義国家も存在するけれど)。