娘と母のダイアリー

 「母」なる、非はてなユーザーのコメントが毎日ついているダイアリーを見つけた。どうやらカナダにホームステイで留学中らしい娘さんが、日記代わりに更新しているらしい。最新の「母」コメントは、日本シリーズの最終戦を落ち着いてみたいのに父親が他のチャンネルに変えたがること、近所の家がハロウィンの飾り付けをしたこと。コメントの締めは必ず「また、明日。」。
 ダイアリーを純粋に個人の日記として活用する人は、ほとんどのユーザーがそうであるように思える一方、実はそうではないだろうと思う。というか、独り言のような(公開の対象がはっきりしない)ダイアリーや完全に内輪向け(なのに公開)の、いくらも転がっているようなものではなくて、きちんと日々の出来事が整理されたものは、ほとんど見ない。
 別に自由に使うことに何の成約もありはしないのだけれど、自戒も込めて書き散らすようなことはしたくないなぁ、とダイアリーを始めた当初から思っていたので、そのダイアリーの、娘と母という他者介在をしがたい関係(しかも現実には太平洋を隔てて面と向かい合うことができない)が、毎日、意思疎通を繰り返す様子が、ネット上に公開されていたことに、感動に近いものさえ覚えそうになった(おおげさか?)。
 娘さんの書き込みは、今日は着付けをしたとか、バスに乗り遅れそうになったとか、ほんとに日常のことで、読んでいても覗き見感覚を全然呼び起こさないのも、少し変わっているのかもしれない。ときたま「母」が娘に、もっと別のグループの人たちと積極的に係わりあうようにしてみては?とささやかに景気付けてあげたりしてね。
 友達らしきIDの書き込みもちょくちょくあるので、娘さん本人が個人的動機で始めたダイアリーに、「母」がいつのまにか書き込むのが日課になっただけかもしれないが、別にうるさがることもなく、自然にコメントを交し合っているのが、読んでて気持ちいい。
 ただの個人的リンク集代わりのような、愛想もかけらもないページが、一番個人的なダイアリーの使い方と言えるんじゃないかと思っていたが、もっと超個人的な使い方があったんだなぁ、とも気づかされたように思う。
 ……で、ここまで書いといてなんだが、あえてトラックバックは張らないので、もし興味を持った方がいらしたら、アンテナに登録しておいたのを探してみてください。