市ヶ谷「九段 魚多」
市ヶ谷と言えば、防衛庁や日テレ(移転済み)よりは、やはり釣堀。平日の昼間、いつか背中を丸めて糸を垂らす日を夢想しながら、総武線のホーム(千葉方面側)から眺めた。
特に食べたいものがあったわけではなかったので、適当に店をぶらつくと、なぜかは知らないが、表のメニューに穴子丼を載せた店が多い。数件外から店構えなどを物色した後、東郷記念公園の近く、市ヶ谷駅から東方面の靖国通りを数歩入った横道にあった「魚(うお)多」なる店へ。
「穴子丼定食」(950円)。
重箱で出てきた穴子丼は、身の柔からさが尋常でない。箸でサクサクと崩すような感じ。味も脂っこくなく、魚臭くなく、うまし。穴子とご飯の間の錦糸玉子も、同じく柔らかく彩りを添える。
小鉢でついてきたブリ大根は最近個人的に好きな、頭の部分が半分入っており、目の周りの綿を残さず平らげる。お新香が口直しにちょうどいいしょっぱさ。味噌汁は熱すぎだ。風味がとぶぞ。
タレがちょっとかかり過ぎていたような気はしたが、辛いというほど濃い味でもなかったので、ほぼ満足いった。
穴子丼はこの店の名物らしく、後からくる客の二人に一人が注文していた。けれども、自分が注文して2,3人で今日の分は売り切れ。おそらく多くとも30人分は出ていなかったと思う。
で、その後に来る客が穴子丼を注文するたびに、もう売り切れたことをいちいち店員が告げるのが、穴子丼を食べてる自分のすぐ横だったので、少しいらつく。表の品書きに、「本日売り切れ」の張り紙でもしておけばいいだろうに。昼は客をさばくだけでそこまで気が回らないのかもしれないが、そーいう気づかいは客商売に必要だろう。
あと、総武線について。「信濃町」駅で割と多めに乗客が降りると、カイジばりにザワッ……!としてしまう癖は、なんとか克服したいものだ。