「メダシ」(ハキ・R・マドゥブティ・アンド・ネイション:アフリカン・リベレーション・アーツ・アンサンブル) Pヴァイン・レコード

 今、読みかけの本にひっかけて例えるなら、「遥かなる地球の歌」((C)クラーク)ってところかな。




 いや、読みかけって、半年以上そうだよ……。




 blues interactions試聴して借りてきた一品。JANISは店内でも一度に5枚まで試聴できるけど、明大や日大なんかのニット帽をかぶってるようなお若い人たちに交じって聞き入る団塊ジュニアってのもなんだし。


 2曲眼の“Children”の冒頭、子供たちの掛け声が「コロセ! コロセ!」に聞こえるのは、そろそろ疲れが出てきてるバロメータ。一方で、そんな疲れた脳を揺さぶるだけの力を備えていることが、1分足らず+低bpsの音でも伝わってきたから。
 ろうろうと捧げるように叫び歌い上げるビッグママを想像させる、女性ボーカルが印象的な1曲目の“First World”と、先にあげた2曲目が、このアルバムの白眉だろう。


 『アフロ・スピリチュアル・ジャズ』という、なんとも坩堝なジャンル名における名盤らしい。でも決して、アフロヘアーで胸の開いたヒラヒラピンク色のシャツにベルボトムジーンズで顔にペイント、頭に飾り羽をつけてサックスをむせび泣かせる、ような類の音楽ではない。そんなキャラはジェームス小野田ひとりでたくさんだから。


 下のジャケットにピンときた人も、おそらく外れないはず。


メダシ

メダシ


 しかし、試聴でリンクしている先の、眼が泳ぐ解説文に惑わされたんじゃなくてほんとーによかった。結果論、結果論。
 「ポリリズミック」「神秘的な」「モーダルな」「高速ビートに浮遊」「端正なタッチの」「ダイナミックな」「ドラマティックな」「聖性さえ感じさせる」「大陸的な」「ダンサブルな」 。これだけ並びたてられれば、惑わされるってーの。