コミックビーム 12月号

 創刊10周年記念号を、いつもと同じ490円で。お得感。現連載陣や過去の連載作家らのお祝いイラストが豪華……というほど各作者とも凝ってるわけではないが、それなりにニヤニヤとできた。

巻中カラー「機動旅団八福神」。

 雨中、自衛隊vs環東軍の殴り合い的インターミッション。「強いなお前」「お前もな」的友情の芽生えなどナッシング。だって僕らはもう大人だから。軍人だから。「間違いと知った上で」「やらなきゃいかんこともあるのんじゃ」。言い切った自衛隊ヤクザに掛けるセリフなどはなかったという。いつになく分かりやすい話の回。

連載2回目「群青学舎」。

 こういうふうに前髪を流して下ろした、しっかり眉、どんぐり眼のブレザー少女が、じわりと涙ぐんだかと思うと、頬を赤らめる、というのはいいね。その後、すんごい投げっぱなしだけど。一応連作なんだから、最終回あたりで落としといてね。

読切「ジゼルとエステル」。

 10月号でエロス溢れるデビューを飾った鈴木健也が再登場。破瓜の痛みは、少年が奪ったのではなく、少年を求めた腰から上で分岐するもう一人の自分。食虫の次はシャム。フリークス溢れる新人である。一方で、前作よりも登場人物が表情に乏しいのは、あえて童話的寓話的世界観に合わせるよう狙ったものなのか。というより、前作よりもだいぶ昔に描いた作品じゃないのかしら。

「月の光」。

 原作のmarginalが、狩撫麻礼の別名義だったとは。


 カネヒラの巻末マンガは、自らの作家暦とビームの歩みの交差を「まんが道」パロで。ところどころ毒はあるが、いつもより真面目だ。一番の毒は、ラストページの柱のコメント「パクリはするけどトレースは絶対しないカネヒラに幸あれ。」に持っていかれてる。創刊1周年、96年発売のビームの表紙にある、園山二美や石田走、馬頭ちーめいの名前が懐かしすぎる。というか9年前の当時、誰を目当てにビームを買っていたのやら、思い出せない。