創 2月号
特集は「出版会の徹底研究」。ライターの服部みゆきという人が「出版会で進むデジタル化の現状」という記事で、昨年9月に設立されたデジタルコミック協議会をレポートしていて、ここ数年で市場規模が倍々ゲームで伸びているケータイコミックに出版社が乗り遅れないための組織らしい。幹事会社は秋田書店、角川書店、講談社、小学館、集英社、双葉社の6社。一般会員19社は新潮社、徳間書店、白泉社など。大手・中堅と言われる出版社のほとんどは入会してると思われる。
協議会の広報を担当しているという、角川書店出版事業部メディア部ライツグループ・国内ライツチーム辻壮一チーフに聞いている話によると、共通のポータルサイトをつくる計画があるとのこと。au、docomo、softbankの巨大キャリアに主導権を握られないよう、出版社で一体となって力関係にバランスをとりたいらしい。
そうなってくると、非協議会企業でキャリア側であるsofbankが仕掛けるWEBブラッドの存在に俄然、注目したくなる。少年ブラッドのぐだぐださや半年で休刊させた体たらくには愛想を尽かしたくなったが、数年後のケータイマンガ市場においてどういう位置を占めているかは、まだ分からない。ブラッドを自前で立ち上げた理由には、出版社との間でコンテンツ使用権の配分に折り合いがつきにくい事情も関係したのかもしれない。一方はコンテンツには絶対の自信を誇るがノウハウがない。一方は印刷会社とも提携し配信システムの構築、自社ポータルサイトからの顧客導線で隙間を狙う。
そのまた一方で、人気作家を除けば、圧倒的多数を占めるマンガ家はデジタルに疎かったり立場が弱かったりで、権利整備をするという名目で個人には不都合な囲い込みが進むことに備える必要が出てくるかもしれない。作家側でもデジタル関連の団体を立ち上げるとか。ここが適当かは別として「21世紀のコミック作家の著作権を考える会」の下部組織とかで。
集客に成功しているネットのマンガは本になってブレイクした猫村さんとか個人のHPのほうが目立っていて、商業主導の顕著な成功例はまだない。まだまだ黎明期ということでいいのか……。
![創 (つくる) 2007年 02月号 [雑誌] 創 (つくる) 2007年 02月号 [雑誌]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51Zk2OrPAPL._SL160_.jpg)
- 出版社/メーカー: 創出版
- 発売日: 2007/01/06
- メディア: 雑誌
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最近見つけて、いろいろ気になったマンガサイト。
- 讀師
http://www.yomishi.jp/main.html
マガジンZ連載作品の朗読をダウンロードして聞きながらマンガを読んで、臨場感を高められるとかなんとか。3月号の出る1/26に開始。「NIGHT HEAD」をDJ TARO、「極東綺譚」を長沢美樹、「ジャバウォッキー」を兵頭まこ。セリフでない状況説明をどうしてくれるのか。どうせなら、作品もデジタル化してDVD付録あたりにして画像+音声の形にしてもらえたほうが。ボイスタイプ(http://www.coremagazine.co.jp/vtype/)のデジタルコミックとか「ちゅぱちゅぱシアター」は使い勝手よかったよ?(意味が違う)
- ケータイマンガ『COMIQ(コミキュー)』
http://comiq.jp/pc/
ケータイマンガが単なる客寄せとして見なされ、内容な二の次で扇情的なグロエロマンガが氾濫していく可能性もあるよという好例。自然淘汰されてはいくんだろうけど、
- 曹洞宗・曹洞禅ネット
http://www.sotozen-net.or.jp/
「道元さま」や「お釈迦さま」は分かるけど「瑩山さま」って誰? あと、「内容を検討中のため、閲覧を一時中止させていただいております」という「チュウ太のぶつぞう日記」と「みどりはみんなの仲間」が気になる。