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  • 元気ですか!! 大晦日!! 2011 at さいたまスーパーアリーナhttp://www.dreamofficial.com/free/fightcard/?id=20111231
    • 当日はコミケ3日目。東駐車場で2時間待機後、閉会の4時までビッグサイトを歩き回ったその足で北上、赤羽のコインロッカーに本の山をつっこみ、宇都宮線に乗り換えて、さいたま新都心で降車、アリーナに6時前到着。ちょうど第1部終了直後の休憩時間。休憩明けの第2部、「桜井“マッハ”速人vs長南亮」から観戦。
    • DREAMが提供する総合格闘技の試合と、猪木が率いるIGF勢のプロレスの試合の両方が行われるということで、試合の内容だけでなく総合vsプロレスのどちらが客をもっていくかも注目していたわけだけれど…・・・。
    • 川尻達也vs宮田和幸」(煽りVで悪役的なキャラ付けがされた宮田に、その宮田が道場で教えているらしき子どもたちから「せんせー、がんばれー」の声援が飛ぶ、ドラマ仕立てな試合)、「藤井惠vsカルラ・ベニテス」(37歳の藤井は、日本の女子格闘界を盛り上げようと奮闘するトップ選手にして先達者という、「鉄風」の“紺谷可鈴”的な位置づけ)の試合に続いて、第2部のトリをつとめたのが、この日初めてのプロレスの試合となる「ジョシュ・バーネットvs鈴木秀樹」。
    • すでに総合の試合が何試合も行われて、会場の空気は総合一色のところ、間が違う、技が違う、ルールが違う、似て非なる試合を提供する形になる。極度の緊張に塗れた総合の世界から、間の作り出すウェーブの高まりを客自ら感じ取るプロレスの世界へ。まったく異なる空間。その点で言えば、このジョシュvs鈴木は、仕切りなおしの前座第1試合。新日で言うヤングライオンが行う、プロレスの基本を理解してもらうための試合。
    • そんな位置づけと言える試合だから、ここで、師弟関係にもあるジョシュと鈴木の2人が、それぞれのルーツであるキャッチ・アズ・キャッチ・キャンの流れるようなレスリングを繰り広げたのは、正解だったと思う。切れ目なく、極力間を作らず、ロープワークの無い試合。腕ひしぎ、スリーパー、ヒールホールドといった総合の技は、流れの中で攻守が次々と入れ替わる中で、途切れなく仕掛けられるため、それらの技に耐えるプロレス的なシーンはほとんどない。
    • 数度あったロープブレイクで、客席から癇に障る笑い声のようなものが聞こえたけれど、攻防が進むうちに歓声の中に消えていった。投げ技で大きな歓声。スリーカウント、ダウンカウントには、すんなり受け入れられていたように思う。試合開始直後の、声をおしころしたような空気が、一旦、だらけかけたように思えたが、次第に試合に注目するざわめきにとって変わっていた。総合の空気の中で行われたプロレスの第1試合目として、2人のキャッチ・アズ・キャッチ・キャンは、比較的受け入れられていたと思う。
    • が、休憩明けの第3部、IGFで恒例の猪木劇場を挟んだ「ジェロム・レ・バンナvsティム・シルビア」はきつかった。UFC元王者の影も形も見えない鈍重なシルビアの動きに、空気が一気にだらだらに。最終的なバンナ勝利のブックが、そのだらだら試合のせいでほぼギャグと化していた。試合終盤、バンナがいきなりラッシュに入ったのは、これは客の反応が不味いと誰かが指示を入れたのではと邪推するくらい。あと、総合の試合の煽りVの出来がどれも非常によかった分、簡単なコメントを繋いだだけのものが目立ったIGFのVは、不利に移った。
    • そんな空気の中で「藤田和之vsピーター・アーツ」がはじまったものだから、藤田がいくらプロレスを頑張ろうとしても、そこに殺伐さが戻ってこない。ズンドコのほうのIGFの試合で終わってしまった。逆エビ固めをやろうとアーツの両足を捕まえた藤田に「(ジャイアントスイングで)回せ!」と、そりゃないだろ?な声が飛ぶ、そんな悲しい時間。IGFならメインクラスのカードがこの扱い。
    • そんなズンドコな空気を引き継ぐ形ではじまった「澤田敦士鈴川真一vs桜庭和志柴田勝頼」で、元レスラー現総合の桜庭&柴田に声援が集まったのは通りか、それとも単なる知名度の差か。鈴川と澤田がロープブレイクに行くたび、会場中に嘲笑を含んだため息が広がり、正直いてもたってもいられなかった。一度決まればそこで終わりの総合をやっているリングで、足首を極められて耐える不自然を演じるわけにはいかないから、すぐにロープブレイクに行くのはしょうがないと思うのだけれど、中途半端にプロレスを知る客が相手だから、すぐのロープブレイクが“逃げ”に写ってしまうやりにくさ。そこの不自然さのせいで、乱闘がとってつけたように見えてしまうのも残念だった。IGFの虚実の虚のほうばかりが注目されてしまった印象。
      • ただ、プロレスの分が悪かったといっても、この日に行われたプロレスは「IGFルール」のプロレスであって、新日やNOAH、全日、ドラゲーといった現在のメインストリームが提供するプロレスとは趣が異なるもの。8月の武道館チャリティープロジェクトに、IGFが同日同時間開催で両国興行をぶつけたことからも分かるように、メインストリームのプロレスと異なった今の猪木が理想とするプロレスが提供された。だから……今日、総合を目当てに来た客がIGFに行くことはまずないと思うしそれはしょうがないと思うものの、今のプロレスってこんなもん?と全体を勘違いされたママで終わってしまわれると……それはさびしいし一言、言いたくなってしまう。
    • あと、総合のファンのうち、この日の「青木真也vs北岡悟」を待望して観に来て、満足して帰ったファンはどれくらいいたんだろうか? 自分には、今、この試合をする必然性と意味合いが分からなかった。青木にスリーパーを極めさせなかった北岡はすごかったし、青木の巧妙なスキルも一見に値した、この日のベストをあげろといわれれば、迷わずこの試合をあげるけれど、とにかく観てるほうがつらかった試合。記憶にだけとどめておきたい、ビデオでは2度と観たくない試合。