新撰組!「ある隊士の切腹」

 また、全体を通して切腹の話。しかし、山南の回ほどとはいかないまでも、なかなかの出来。今後数年、新撰組といえば切腹、というくらいの流れをつくるつもりなのか、三谷氏。
 武田が徹底的に小物の悪役の扱い。本を返して50両を用意するという話は、次の買い手が伊藤一派と知って、止めてしまう。これ以上ないくらい小物振りをアピールするエピソードを、三谷氏もよく思いつくなあと感心。
 端々の演出は、山南の回よりベタなものが多くわかりやすい。河合が藤堂と抱き合って喜ぶシーンでは、いまかいまかと溜めて、河合が起き上がった瞬間、「夢オチかよ!」とベストタイミングで突っ込めた。
 飛脚がかけてくる幻聴を聞く河合。三谷氏、痛々しさを増すテクニックを熟知してらっしゃる。「父に、河合耆三郎は何一つ恥じることはなかった、と。それだけを伝えてください」。そう告白した後も幻聴が続く。
 いよいよ切腹
 武田立ち会うのかよ。「飛脚はまだきませんか」。……ダメ押しだ。「あと、5つ数えるまで待ってもらえませんでしょうか」。目を閉じて何をか思う河合の表情。もう決意を固めるのか、と思いきや、「飛脚は」。あぁ、見てられない。そして、河合の視線から目をそらす武田。ベタベタだ。
 先週の予告ですでに出ていた伊藤の「悪いが、新撰組はかならず時代から取り残される」。今回の話で、以降の新撰組の転落をはっきりと視聴者に確認させた。その核に、新撰組の暗部を分かりやすく象徴する切腹を使ってきたことには、またか、と思わないでもないんだけど。否応なく山南の回の出来の良さと比べてしまう人はいるんじゃないか、と思うし。
 最後は、飛脚の鈴の音が近づくシーンでフェードアウト。それはトドメ刺しすぎだって! 三谷!(もう呼び捨て)。
 あと捨助は、何がしたいのかさっぱり分からなくなってきた。