「真夏の夜のユキオンナ③」(大山玲)講談社コミックスDX

 
 おそらく4、5年ぶりの再読。

 海彦が娘たちをはらませまくってなんとか男の跡継ぎ生まれるまで待ってくれという身勝手な約束を言いかけたところで、返答代わりに凍らせるユリ。
 そこから、すんなり、海彦と分かれて冬山に入身するユリの「まってたのよ ずっと……」に流れてもいいのに、そこで小さなコマで入る「……よせ!」(晴明)が、今回再読して、やけに心に張り付く。というか、読んでる自分が「よしてくれ!」と思っているのか?(これが、女はおっかねぇ、ってやつなのか……<ちょと違う>)

 もしかしたら、ユリと海彦の恋愛沙汰に晴明が意見を出そうとしたのって、これが最初で最後じゃないか?、と思い読み返してみたら、3話で夢見のなかで海彦のことを知らずにユリを追求して釘をさされて以来だった。3話ではまだ反抗する勇気があったというか、その後じょじょに教育されていって怖さを身に染み始めたから、下手な興味をみせてやぶへびにならないようにしていたのかもしれない。
 氷漬けにされるところで、思わず意見が出てしまうように描いたのは、なぜだろう。
 その次の回で、男の甲斐性を考えてイクヨのため九巴のため子供のため大学を辞めて陰陽道で稼ぐーー、っていう流れをはっきりさせるために入れたと考えるのが自然なのかもしれないけれど、それでもあのユリに「よせ!」と言ってしまうのは、その時点ですでにユリに完全にしつけられてしまった晴明からすると、違和感があったりもする。
 それと、その37話は、ユリと海彦の究極的には二人だけの問題を二人だけで決着させる話で通してもよかったと思うのだけれども、そこに、それまではイクヨと九巴との子作りに熱心で、自分の恋愛事情だけしかかまけていない、海彦のことをユリといちばん話してた32話でも「独り言かと思って」とか「何言ってんだ……?」とか、興味なさげ(なふり)だった晴明の主張がポンと置かれる。
 主人公なんだから、入れとかないと、という都合もあるのかもしれないが、今再読すると、その「よせ!」が強すぎるんだな。
 
 また、あとで考える。


 
 で、復刊タイトルで恒例の、決意表明あとがき(笑)。
 講談社で6回自爆してたぁ? えーと、最初が「THE 強制接吻」(ヤンマガ、92-93)だろ。で、次が「とと」(ヤンマガ海賊版、94-95)、復刊2巻で白状してたアフタヌーン連載予定がぽしゃった「とと」リベンジ続編が×2。これで計4。
 うーん、あと推測できるのは、「THE FISHBONE」の単行本化ができてないこととか? でも、ユキオンナとは直接関係ないしな。どなたか推測がつく方がいたら、教えてつかぁさい。

 「おまけに非ず」。もがみゆりこカンバーック。


真夏の夜のユキオンナ 3 (KCデラックス)

真夏の夜のユキオンナ 3 (KCデラックス)