「ヤングパラダイス」(たかしたたかし)ホットミルクコミックスEX

 秋葉原古本市場で購入。
 クトゥルーでテンタクルスなお姫様がお付きの女剣士をやっちゃう「キューティーハザード」や、人間化した動物相手に乱交状態の「ぐるぐる! ジャングル!」シリーズといったおバカな作品は、お得意のエロ液満載の描写は評価するものの、「犬雨」で見せてくれた熱帯雨林の豪雨にけぶっているようなうっとおしさというか厭世がうっぱらわれ、明るいエロに徹していたため、当時は購入していなかった。
 今、読んでも当時とあまり感想は変わらない。根元が細い独特の形をしたイチモツが、やはり目を引く、というくらいか。「大運動会」や「まかせてイルか!」は、たかしたたかしでなければならなかった、という仕事ではなかった。「犬雨」1冊だけでも十分、エロマンガ界に大きな足跡を残しているとはおもうが、やはりまた復活してきて欲しい作家だ。



 ところで、たかしたたかし関連の検索過程で、あるジャンルのエロマンガについてまとめたページを見つけた。

 http://www.renge.sakura.ne.jp/~puripuri/List/FCL__Chronology.htmその説明

 たかしたたかしの検索から、ふたなりというワードに行き着くのはごく自然なことだ。



 86年のダーティー松本が、エロマンガ業界におけるふたなりの起源なのかどうか、自分には正確にはわからないが、個人的感覚として劇画エロの祖は松本なので、そこまで遡ってくれていれば、別に問題はない。というか、ダーティー松本くらいまでのベテランがかろうじて実用に耐えるラインギリギリなので、ここを基点としてもらうほうが何かと理解が及びやすい。

 このページによると、最初にメジャー誌でふたなりが出てきたのは、大島岳詩の「感じさせてBABY」(88年〜)かららしい。太めのお姉さんの大きめの唇が印象的だったことを覚えているが、しかしふたなりが出てきたかどうかは記憶にない。その前の年にあがっている唯登詩樹も、そうえいばふたなり作家だったな、と思い出す。いちはやくCGカラーのエロを武器にし始めたので、ふたなりという作家性から見ることはなくなっていった。

 92年であがっている、わたなべよしまさ(「マッドサイエンティスト律子」)あたりから、ふたなりが単なるディルドー代わりでなく、ストーリーに組み込まれ始めていった印象がある。同年であがっている、うたたねひろゆき(「COUNT DOWN」)、かわはらしん(「夢色シスターズ!!」)あたりとも共通する感覚だ。あくまで感覚なので、今きちんと読み返せば、勘違いになるかもしれないが。

 翌93年から、何故か一気にふたなりエロマンガが充実し始めている。どんな転換期があったのか、こちらもよく覚えてないが、ふたなりを当時うまく取り入れていたように思う作家を同年でざっとあげると、町野変丸田沼雄一郎にしき義統、冨樫、蘭宮涼プロトンザウルスあたりになるか。
 94年以降はもうコンスタントにふたなりエロマンガが出版され続けるようになり、完全に1ジャンルとして定着していったことがうかがえる。それからすると、98年2月に出た「犬雨」は、遅いほうの登場だったことが分かる。

 その後のふたなりエロのオススメを、まとめページからあげるなら、おかだまつおか「Milk drop」(富士美出版、1998年8月)、師走の翁師走の翁」(ヒット出版社セラフィンコミックス、1999年2月)、安宅篤「VICTORY WAVE③」(ヒット出版社セラフィンコミックス、1999年3月)あたり。しかし安宅はすでに故人だ。単行本の後書きなどからは職人気質が窺えたおかだは、どこかへ消えてしまった。師走は、シャイニングシリーズの次の手が見えない。自分にとってのふたなりの担い手は、また新たに掘り起こす必要があることを認識させる。






 え? みさくら?  誰それ?