「コンスタンティン」(フランシス・ローレンス監督)
池袋サンシャインの18:15の回が最前列以外満席だったため、すぐに駅へ引き返し、新宿へ移動。紀伊国屋裏の新宿松竹会館の19:00の回へすべり込んだところビンゴ。400席あまりが8割ほど埋まるなか、ゆうゆうと鑑賞。
もっとスタイリッシュな「裸のランチ」のような雰囲気を予想していたんだけど、それよりはずっと分かりやすい。イエスから始まる天使と悪魔の2元論で貫かれたカトリックの世界。
ガジェットは盛り盛り、あふれんばかり。
水はすべての世界と繋がる。
金の十字架を溶かした銃弾。
十字架のカタチをした黄金銃。
地獄と天国の隙間にある現実。
地獄にだけある聖書。
翼の折れたエンジェル。
核爆弾が落ちた直後の世界が永遠に続いてるかのような地獄の光景を、無脳のクリーチャーが無数にうろつきまわる。
地獄は、現在とは異なる世界ではなく、現在が業火に包まれた滅びの世界としての地獄、として描かれている。天国は明らかに現在とは別の国として描かれていたのに比べると、これは対象的だった。キアヌリーブス演ずる主人公は、天国も地獄もすぐ近くに、たとえばそこのコーヒーカップの裏にもあるといったようなことを、刑事の女性にカフェで話すが、ビジュアルからすると、地獄のほうが天国より現在に近しい。
日本でも、昔に描かれた絵巻などは、地獄絵図のほうが極楽浄土よりよほど想像力豊かにさまざまな資料が残されている。
地獄へリンクした場合、現在いる場所がそのまま地獄に変化するというのは、あれだ、ゲームブックで言うなら、エルフの主人公が現実と夢を行ききしながら冒険をする「恐怖の幻影」(http://www.luice.or.jp/~kemkem/kegames/FFS/sirizu/sirizusyoukai06.html)。
でも、裏テーマというか、この映画がほんとうは何を訴えようとしているのかと言えば、明らかにここまで書いたようなことではなくて、「嫌煙・禁煙推奨」と読み取ったんだけれど。この前銀座で観た「スーパーサイズミー」に負けず劣らず。スタッフロール直前のキアヌのアレはなんかはまさしく。もしくはサブタイをつけるなら、ルシファーはサイババだった、とか。チェーンスモーカーの救世主=メシア=イエスこそ、ルシファーだったというオチの鮮やかさに、感嘆。