性犯罪前歴者の出所情報の提供開始 法務省から警察庁へ(朝日)

 http://www.asahi.com/national/update/0601/TKY200506010128.html?t

出所情報は全国74カ所の刑務所などから警察庁に直接郵送される。A4判の用紙1枚に生年月日や本籍、出所予定日、帰住予定地のほか、収容中の特異事項や出所理由(満期、仮出所、恩赦)などが記されている。
情報は警察庁から都道府県警本部、警察署へと送られ、署長が交番勤務員や刑事の中から担当者を指定する。
実際の居住確認は外から様子をうかがうにとどめる。近所などで聞き込みをすれば、社会復帰の妨げになる可能性があるためだ。
こうした運用に首都圏のある署長は「マンション住まいだったり、生活が不規則だったりして状況が確認しにくい時もある。専門の刑事に担当させるつもりだが、活動は制限されており、再犯を防ぐことができるとは言いきれない」と話す。
警察庁は再犯が防げなくても「仕組みとして実施していれば責任は果たしたと言える」という見解だが、前歴情報の提供は奈良市の女児誘拐殺人事件を機に制度化されただけに、現場には「再犯は許されない」という意識が強い。
警察庁は再犯防止策として「声かけ」事案などは積極的に捜査し、指導や警告する方針も新たに定めた。「声かけ」自体は犯罪とは言えないため各地の警察で対応に差があり、性犯罪の前兆を見逃していた可能性があるからだ。
これにも疑問の声はある。東北地方の警察幹部は「命や財産を奪う犯罪に立ち向かうのが警察の使命。明確な被害がない事案に力を入れ過ぎてしまい、結果的に本来の業務が手薄にならないか」と心配する。
法務省は性犯罪者への教育プログラムの策定に力を入れる。
埼玉県の川越少年刑務所には性犯罪防止のグループワークのために小部屋を設けた。なぜ犯罪に手を染めたのか、その時どう感じたか――6人1組、丸く並べたいすに座って向かい合い、受刑者たちは自由に語りあう。「被害者に落ち度があった」などと受刑者が言い出したときに、どう内省に結びつけるか。「そこが指導教官の力量の見せどころだ」という。
ただ、指導教官は3人だけ。同刑務所の全性犯罪者約180人のうち、受講できるのは年間20人ほどしかいない。
浜井浩一龍谷大学教授(犯罪学)は「米国での研究では、出所者を監視することで再犯の摘発は増えるが、再犯そのものは減らない。再犯防止はコストと効果を考えるべきだ。受刑者の認識や行動のひずみに焦点をあてた認知行動療法のように、対象者に合った矯正教育など科学的根拠に基づいた対策が必要だ」と指摘している。

 性犯罪者情報:出所者情報、今月から警察へ 有効性に疑問の声も /熊本(毎日)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/kumamoto/news/20050602ddlk43040659000c.html

1日から県警への提供が始まったのは、13歳未満の子供に対する強盗強姦(ごうかん)、強姦、強制わいせつ、わいせつ目的略取・誘拐の罪で服役した性犯罪者の出所情報。警察庁は出所1カ月前に該当者の生年月日や本籍地、出所日と出所後の居住予定地などの情報を法務省から受け、データベース化し、居住地の都道府県警本部に提供する。一般市民へは公開されない。県警は「県内関係者は年間1〜2人」とみている。
県警は情報を居住地の所轄署の生活安全課(刑事・生活安全課)に提供し、定期的に自宅周辺を巡回しながら「居住確認」をする予定だが、反応は鈍い。
警察庁の方針で「出所者の社会復帰を妨げないよう、自宅や近所、職場への直接訪問は控える」とされており、「事実上禁止されたようなもの」と捜査畑の長い県警幹部は制度の「制限事項」を理由に挙げる。ある捜査員は「従来は、容疑者の家族と連絡を取り合い、出所後には本人と面会を重ね、共に将来設計を考えながら行動確認してきた。禁止されると困る」と事情を説明する。
また「13歳以上の未成年者を対象にした性犯罪者と区別する必要はあるのか」(別の幹部)との疑問も残る。県内の04年の福祉犯被害者数93人のうち小学生は1人。「大多数の検挙者に制度は該当せず、被害者年齢によるダブルスタンダード二重基準)は現場の混乱を招く」(同)と厳しい。
それでも、県警少年課は「居住地周辺で声かけ事案が発生した場合などは、被害を最小限に食い止められる」と一定の効果を期待し、少年に関する電話相談窓口「肥後っ子テレホン」(0120・02・4976)への情報提供を呼びかける。受け付けは月〜金9時15分〜18時15分(時間外は録音対応)。

 性犯罪者の情報提供始まる・更生への配慮課題(日経)
 http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20050601AT1G0100N01062005.html

法務省は対象者が出所する1カ月前に、警察庁に出所予定日と出所後の居住予定地、服役中の特異な動向について個別に文書で連絡。同庁は「再犯防止措置対象者」として登録し、居住予定地を管轄する警察本部長に通知する。
都道府県警では原則5年以上、性犯罪の前科がほかにもある場合は10年以上、定期的に居住状況を確認。所在不明の場合は警察庁がデータベースに登録し、各都道府県警に情報収集を指示する。

 性犯罪者の「治療」を研究 文科省、刑務所とも協力(共同)
 http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2005053100165&genre=F1&area=Z10

文部科学省は5月31日、少年刑務所保護観察所とも協力し、性犯罪者の再犯防止に医学的な治療がどの程度有効かについての研究に乗り出すことを明らかにした。
再犯性が高い性犯罪をどう防ぐかという問題は、各地の事件を受けて関心が高く、1日には13歳未満の子供に対する暴力的性犯罪者について法務省警察庁に情報提供する新制度がスタート。5月18日に成立した受刑者処遇法では、性犯罪者ら受刑者に矯正教育への参加を義務付けた。
しかし一方で、個々の性犯罪者の再犯を防止するための有効な方法は確立しておらず、研究者によると、現場からは「性犯罪者の矯正には何が効果的なのか」「医師の治療も必要ではないか」などの声が上がっているという。

スタートはさせた。方針も整えた。では、具体的に現場の巡査に何ができるのか。何をしたらいいのか。戸惑う現場。根本的に事後対策が任務となる警察には、そもそも事前予防を自らがやるべきことと考える思考やノウハウは乏しい。物騒な世の中になったからと目くじらをたてる人間が頼るのは、民間の警備会社だったり、ホームセキュリティシステムで擬似要塞化することだったり。


 ――いつ、点数稼ぎや立件の手柄になるかも分からない、性犯罪程度(警察や警察関係者が犯罪のなかで性犯罪がどれほどの罪状に値すると考えているのかは微妙だ。刑法上の罰則の重さから推し量れるという比較論ではなくて)の犯罪者のリストを渡されて、四六時中目を光らせてなきゃならないのかい?――


そういった本音もあるのかもしれない。



 またアメリカでは情報公開する州の数を増やしていく方針を司法省長官が明言。

 米の性犯罪前歴者48州の最新情報 政府がサイト開設へ(朝日)
 http://www.asahi.com/international/update/0521/005.html?t

米司法省のゴンザレス長官は20日、性犯罪の前歴者の最新情報を検索できる公的サイトをインターネット上に開設すると発表した。子供が殺害される性犯罪事件が相次いでいるため、住民の自己防衛を促すのがねらいという。今秋までに48州を網羅したい考えだ。
同長官は、性犯罪の具体的な内容や運用方法など詳細については説明していない。
同長官によると、米国の48州がすでに何らかの形で前歴者の情報を公表している。今回は既存のデータベースなどを統合することで、前歴者が州をまたいで移動しても動向がつかめるようにする。
ロイター通信によると、個人名や特定の郵便番号、地域名などを入力して前歴者の情報を検索する方式になる模様だ。同長官は「あらゆる市民や捜査関係者が、前歴者の個人情報や居住地を調べられるようになる」と述べた。
参加は各州の判断にゆだねられるが、専門家の間では「地域社会に過剰な自警行為を促す恐れがある」という懸念の声が出ている。

 性犯罪者情報ネット公開 米司法省 所在など追跡可能(東京)
 http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20050521/eve_____kok_____001.shtml

六十日以内にサイトを作り、まずそこに少なくとも二十州が性犯罪者の情報を登録するという。

秋までにはオレゴン州を除き全州が性犯罪者情報を登録する。司法省ではオレゴン州に参加を働きかけるという。
ドーガン上院議員民主党)は「暴力的な性犯罪者の70%が服役後、再犯している。所在が追跡できることは重要だ」とサイトの意義を強調。

 前歴者情報サイト開設へ/性犯罪多発で米司法省
 http://www.shikoku-np.co.jp/news/news.aspx?id=20050521000226


 ゴンザレスとかドーガンとか、濃い名前の人間が推してるようだ(と、今はお茶を濁しておく)。