松文館「蜜室」裁判控訴審判決
メモった手帳を移動先に忘れてきたので、明日、追加、修正、削除してる可能性アリ。
抽選番号35→傍聴券21ゲット。
9：30に到着し、9：35頃、定員の39人を超えたとの告知が入る。
9：40の締め切り直後（ほんと5秒遅れくらいで）、黒シャツの男性がきちんと9：40に間に合ったといって、係員と押し問答。えー、確定したことはいえないが、おそらく某左翼系を自称するエロマンガ家のY.Y氏だと思われる。2年前のロフトプラスワンでの松文館裁判イベントで初めて見たときも、質疑応答で若いのと相当エキサイティングしたやりとりを交わしていたが（あのときは明らかに若いの論点のほうがボケボケだったけれど）、いつもこんなふうに熱い人なのか。
MDレコーダー、ICレコーダー、小型デジカメを傍聴券の引き換え時に係員に渡して入廷。
松文館社長が最後に入廷してきて判決文読み上げ。
冒頭一番最初に、一審判決を破棄して罰金150万円を科すことが読み上げられたとき、そういう言葉は実際ないんだが「減刑敗訴」という言葉が浮かんだ。
その後、弁護士会館での記者説明会でのやりとりからいくつか。
実写よりマンガはわいせつでない、というのが減刑の理由の一つになったようだ。
で、山口弁護士を含む法廷と説明会にいた3人の弁護士が、3人ともこれを評価していた。が、なぜそこまで評価していいものかよくわからない。
実写よりもわいせつでない？ でも結局、わいせつなんだろ？ じゃあ、わいせつな実写ってなんだよ？ わいせつの定義を検察、裁判所が握るって状況は見直さないんだろ？
実写が絵よりも性的興奮をかきたてるなんて、個人差だろ？ 自分が日記のタイトルにつけてる「実物」より「実写モノ」「マンガ」はわいせつ性に劣るだったら、まだわかるさ。マンガのほうが抜けるぜ、自分は。
芸術性が見受けられないということについて。
山口弁護士の説明会での言葉に、テーマや話の運びといった要素にかかわる芸術性以外に、作画技術的な部分での芸術性、あるいは作者が意図しないものにも芸術性を認めることが可能、という見方が初めて出されている、というものを聞いたんだが、この判決文全文（http://picnic.to/%7Eami/news/etc/040122hanketsu.txt）からは、そういうことを述べた個所が見受けられなかった。聞き取り違いだったのだろうか。
判決文全文から、ゾーニングについて述べた個所。
なお、弁護人らは、被告人が、本件漫画本を含む自社発行の成人向け漫画本について、「成人コミック」というマークを入れたり、「18歳未満の方のお買い求めはできません」と表示された棚プレートを作成して書店に配布したり、中身が見えないようビニール袋で梱包する資金を支出するなど、青少年に対する悪影響を回避するための一定の配慮をしていた旨主張し、その主張に沿った証拠も存在するが、本件は、わいせつ図画の事案であって、青少年に対する有害図書として摘発されたものではなく、しかも、関係証拠(甲42)からうかがわれるように、本件漫画本が書店の店頭で他の一般図書と並んで陳列されることもあるという実情に照らすと、弁護人らの指摘する上記事情を本件の犯情として重視することはできない。加えて、被告人は、当公判廷において、本件漫画本を頒布したことは認めながらも、そのわいせつ性について争うばかりか、本件漫画の描写がリアルかどうかなどは専門家でない警察官や検察官には分からないなどと広言して、自己の行為が社会に与えた悪影響について反省する態度は全くみられないのである。
今日の時点での判断ということでは、上告はあくまで「検討中」ということにしてほしいとの弁護団の意向だったが、ほぼやる気まんまんの弁護士の1人は、最高裁ではゾーニング論が焦点の一つになる、と話す。
ゾーニングしてても、頒布にあたる、という今回の判断に対する異議申し立てが最高裁で認められるのか。
まだ高裁、ということも言えるので、ゾーニング無駄見解は決定事項ではないが、そのあたりがどう最高裁で展開していくかは、はっきりいって予想がつかない。
というか、ゾーニングうんぬんはメインの論点ではなかったよな。もしくは、ゾーニングの意義を認めさせるくらいしか、くつがえせそうな要素がないのか。
裁判の影響で銀行取引ができなくなっていた松文館社長のコメントで、「明日から銀行を回ります」というセリフは、執行猶予が破棄されホッとした気持ちが素直に受け取れた。ほかに「マンガ家たちが（摘発を恐れて）怖がってる」という趣旨のことを言っていた。係争してるところと取引しようという一般企業や銀行はない、というのはよくわかる。いっても1エロマンガ出版社に過ぎない。すでに出版会から多くのものを背負わされ過ぎてるというのも分かる。
けれど上告はするべきだろう。カンパ受付はやってないのかな？
