バットマン ビギンズ(クリストファー・ノーラン監督)
いや面白かった。素直に。140分まったくダレなかった。
歌舞伎町の新宿ジョイシネマで20:00の回。小太り眼鏡リュックのオタク外見の人が多い。入りは7割程度。あと、なぜか、白人の小太り気味の女性のペアと、団体の大陸人の人が複数。バットマンファン層なんてものは、いまどきないのだろうけれど。
過去4作の映画や、コミックや、米ドラマを未見の自分にとって、バットマンと言えば「バットマンの歌」。それもオリジナルは聞いたことなくて、87年のNHK-FMでの米米クラブプロデュース特番で、シュークリームスが歌うライブ版「バットマンの歌」だけれど。「美奈子でっす」「どすこ〜い」。
話がそれるね。
クライマックスで、ある秘密兵器を乗せて疾走するモノレールに沿って、高架下の道路で跳ね上がるマンホールの蓋、吹き出す蒸気。これカッコよすぎ。しかもバット小物のケーブルガンでぶら下がったバットマンをすごい勢いでぶん回しながら、のオマケ付き。
「ポリスストーリー」のショッピングモールのシーンで、ジャッキーが電飾をバチバチぶち切りながらポールすべりながら落下していくシーンに匹敵するね。
映画冒頭で、亡き父親が敷設したモノレールは、新品ピカピカで、まだ子供のバットマン=「ガンカタ」の人が父に重ねる尊敬と偉大さと前向きさを象徴してるわけだけれど、ゴッサムシティが腐敗したこのときには、列車は落書きだらけだ。こういった、過去に出てきた造形やアイテムやセリフが、姿を変えて出てきたり、別の人間に再び言わせたりといった、伏線消化がかなりよく行われてる。そのあたりでよく練られてる印象を残すのも、140分が体感短かった理由だろう。
アクションは、パンフによると、バットカーのチェイスシーンがすべて実写ということで、迫力がある理由が理解できた。
最後に、ゲイリーオールドマンが演じる警部補からトランプのカードを渡される。ひっくり返したトランプの表は、もちろん、あの絵柄。引きも王道で良し。
個人的な予測をさせてもらえば、この映画が人気になれば、マンガとかアニメとかゲームで、絶対篭手ブームがくるね。サムライスピリッツのナイトハルトズィーガーこと鯖シルエット以来の。
鑑賞後にロビーで、福知山線事故に関する映画内容とのの関連性のお知らせ、の張り紙を見かける。張り紙の署名に、監督名や出演者名まであった。気を配り過ぎるのもギスギスした感じがして、ちょっとなと。映画を観た後で気付いてよかったよ。観る前じゃなくて。
パンフに、ドラマ版と映画版のゲイ美学=キャンプを踏まえたウェイン町山によるコラムあり。これもなかなか面白かった。
あー、ケンちゃん? ただのチョイ役でしたな。