「東京アウトローズ」WEB速報版――クボタはアスベスト被害で何故、いち早く見舞金を払ったのか

 http://blog.melma.com/00143878/20050804002151

アスベストを使ってきた多くの企業の中で、クボタが率先して情報開示を行ったことに対して、世間は好意的な評価を下しているようだ。少なくとも、〝クボタ非難〟の声はそれほど聞こえてこない。
しかし、某業界関係者は次のように打ち明ける。
「実は、クボタは、アメリカでアスベストが全面禁止になるらしいということで、産業技術総合研究所(旧通産省・工業技術院)と協力して、この間、代替品の開発を進めてきた経緯がある。クボタは、自動車用ブレーキパット材に従来から使われてきたアスベストの代替品としてチタン酸カリウム繊維(商品名TXAX)を開発済みで、量産体制も整っている。こうした背景があったからこそ情報開示に踏み切ったと見ています」
つまり、企業としての採算を度外視した〝美談〟などではなく、そこには〝冷徹な計算〟が働いている、というのだ。ちなみに、チタン酸カリウム繊維は、クボタの他は大塚化学が生産するのみの2社独占体制である。

 ふーん。


 [兜町ウォッチャー]アスベスト対策関連が活況、夏枯れ時の有望なテーマに(ロイター)ではノザワ、菊水化学工業、日東紡績、日本ピラー工業、興研東海カーボン日本カーボン、日本ルツボ、日本カタン日本電気硝子群栄化学工業が関連株としてあげれられているが、クボタ、大塚化学の名前はあげられていない。
 兜町(シマ)の噂 アスベスト関連(証券新報)の記事でも、あがっていない。ノザワと日本ピラー工業はアスベスト被害を出している会社らしい。

 実際、ヤフーの株価推移を見ても、クボタの株価に、アスベスト問題がともなったと見られる上げ下げはない。アスベスト系仕手株が急落(証券新報)によれば、ノザワなどの関連株は仕手系が引いて今は下がっているよう。



 クボタのアスベスト被害公表の理由について。
 [検証]日本企業の海外上場、会計制度・開示の厳格化でブレーキ(ロイター)

そうした中、米国上場企業のクボタ<6326.T>が最近になって、突如、アスベスト問題を公表した。この問題は、アスベストと肺がんなど疾患との因果関係ははっきりしていないこともあって、企業によっては開示しない可能性もあった指摘されるケース。クボタでは、ニューヨーク上場企業であることを意識して公表したものではないとしながらも、「内部統制を厳しくしようと会社の意識を高めており、開示に踏み切った」(広報担当者)という。そして、クボタの発表をきっかけに、アスベスト問題を公表する企業が相次いだ。

 内部統制うんぬんとよく分からない答え。因果関係ははっきりしてないなら、このままほうかむりを決め込むこともできただろう。もしくは、上場するというニューヨーク=アメリカでアスベストが使用禁止になるらしいので、その前に手を打っておいたほうが株価の市場評価を高められるか。



 2社独占体制にあるといううちの一社、クボタのチタン酸カリウムについての説明はこちら→自動車用ブレーキパッド材のTXAX(チタン酸カリウム繊維)
 大塚化学の説明はこちら→伊藤忠ケミカルフロンティアと大塚化学が自動車ブレーキ用摩擦材製造工場「張家港大塚化学有限公司」を設立(2004年12月15日)。中身を一部引用すると、

チタン酸カリウムは、自動車ブレーキ用摩擦材の主要原料であり、従来から使用されているアスベスト石綿)の代替品として世界的に需要が伸びております。 特に中国は、世界の自動車メーカーの進出に伴い日系の主要大手ブレーキメーカーも多数進出を決定しているため、今後の需要の増加が益々期待されており、さらには、チタン酸カリウムの原料ソース地であるという利点があります。
大塚化学株式会社は、チタン酸カリウムを戦略商品として位置付け、その生産と用途開発に積極的に取り組んでまいりました。今日では世界最大手のメーカーとして、市場規模年間約 5,000トンに対し、年間3,000トンを日本で生産し、国内及び海外のユーザーに供給しております。今回の中国での事業化によって総合的な競争力の向上を図り、戦略的生産拠点として育成する方針です。

 中国がからんでくる。


 で、この記事。
商社マンのキャリア 小西 治

現在、我々の事業部では大塚化学株式会社と組み中国江蘇省張家港保税区に自動車ブレーキ用の主要原料であるチタン酸カリウムの製造会社を設立。チタン酸カリウムは、自動車ブレーキ用摩擦材の主要原料であり、従来から使用されているアスベスト石綿)の代替品としてすでにアメリカ、ヨーロッパ、日本で高い評価を得ている世界的に需要が伸びている環境に優しい原料です。 特に中国は今後の需要増加が期待されており、2005年秋の稼動に向け順調に滑り出しました。

 今年の秋というもう目前に、大量生産供給の準備は整えられているよう。中国の需要増を見越した新工場稼動ではあるようだが、原料だけを日本に輸出するよりも工賃の安い中国で製品化しておいたほうが利幅がでかくなるか。実際の需要増加量と工場規模と今後の投資額のバランスだろうが。


おまけ。
クボタがアスベスト被害住民3人に見舞金 「誠意感じた」

謝罪はなかったが、この日尼崎市内で記者会見した3人は「誠意を感じた」と話した。

 一人あたり200万円×3人=600万円を見舞金として。今後も、工場で働いてた人や近隣生活者で中皮腫を発病した場合は、“条件を満たせば”、見舞金や弔慰金の支払いを検討するよう。600万円程度でカタがつくんなら、ね。