ヤングガンガン 17号

 あいかわらずヤンガンの表紙グラビアは、可愛くないアイドルばかりを持ってくるように思う。今号の愛衣のおたふく顔はどうだ。もちろん、カメラマンの腕もあるだろうが。もし普通のスキルのカメラマンが撮ったのだとしたら、よりによってこの写真を選んだ表紙担当者の審美眼を疑う。



 話は変わるが、俺センターの少年シリウス感想にあった『表紙+巻頭カラー、藤山海里龍眼。……誰? そして何?』。
 掲載作品を、オリジナル8:児童文学原作モノ2くらいの比率で占める、ある意味意欲的な構成が、中身を読む以前、店頭で平積みにされている段階ではうまく訴求できないでいるもどかしさ。
 これまで月刊で4号出ているシリウスの表紙は、創刊号の加藤和恵と10月号の藤山がティア出身の新人。8月号はラノベ挿絵家の翠川しん、9月号はマガジンZ連載のゲームマンガ作画担当のたかなぎ優名。原作がついてるたかなぎを含めても、作品としては4つとも完全オリジナル。はっきり言って、まだ、海のものとも山のものともつかない。
 定価500円で700ページオーバーの雑誌はお得感があるほうだと思うが、シュリンクされて中身が確認できない場合もある。気軽に手を出せるほどの面白の臭いは、表紙からは漂ってこない。ちょっと本屋のマンガ棚を見渡せば、シリウスのような生真面目な路線がいかに挑戦的か、というか希少かは、よく分かる。



 例えば、去年創刊したタカラ資本のコミックラッシュは、こちらで歴代の表紙を見ると、買収したブロッコリーギャラクシーエンジェルやメディアミックス作品が表紙になってる率が高い。しかも、号を重ねるにつれて、GAの登板が連続している。テコ入れ、テコ入れ。
 何度か表紙になってる「ブラフマン」というオリジナルっぽいマンガがどれだけ人気があるのかはよく知らないけれども、早々にアニメ化が成った「となグラ!」にしても今年4月号で表紙を飾るまで、約1年を要してるわけで。



 さて、ヤンガン。

 表紙一覧を見てもらうと分かるが、8号から表紙が水着グラビアへチェンジした。
 創刊号を含め過去3回表紙を飾った「ロト紋」続編は、ネームバリューはばっちりだが、肝心の作品が面白くない。原作のネームバリューで張り合えそうだった韓製FF11マンガもあまりに面白く無さ過ぎて、早々に中断(近日再開予定らしいが……)。
 他の連載はすべてオリジナル新作で、今のところ辛うじて表紙を飾れそうな認知度なのは「すもももももも」くらいか。実際、4号と7号で2度、表紙を担当した(個人的には、真っ赤な7号の表紙のすももが快活で可愛いく、大変気に入った)。
 けれども、それにしたって、一気に認知度を高めるきっかけになった5月の単行本1巻が出る前の話で、そのときにはすでに表紙はグラビアへ移行していた。
 それなりに名の通った作家も月1やゲストで載ってはいるが、読み切りや短期集中作品を、そうそういつもいつも、表紙に使うわけにもいかないだろう。


 8号からのグラビア表紙への移行が、当初の予定になかった路線変更なのか、グラビアの準備が遅れていただけなのか。定かでないが、看板マンガやそれに準じるマンガがはっきりと見当たらない今の状況では、グラビアに表紙を任せておく、ことは解の一つとして正しいのだろう。



 ……と、ここまで書いてみて、青年誌ということになってるらしいヤンガンを、創刊間もないメジャーどころのマンガ誌だからといって、少年誌のシリウスや、マニア誌のラッシュと比較して語ることに無理があるかもしれないなぁ、と思ったりもするが、でも、表紙に可愛くないアイドルを使う理由にはならないんじゃないかと思うので、まあ、いい。






巻頭カラー「すもももももも」。

 ツンデレいろはから、変わり身の術で、恥ずかしい告白を引き出す弟くん。今回も高いレベルのラブコメで満足。壁にぶつかったら人型の穴が開くような記号暴力しかここまでほとんど描いてきてない「すもも〜」らしくない、マウントポジションからの直パンチ連打のオチが、冴え渡った。

巻中カラー「マンホール」。

 第1犠牲者の行動の裏にあった意図に、推理をめぐらす刑事たち。前も書いたように思うが、そーいう刹那さ系な設定は、別にいらないんじゃないだろうか。ひたひたと忍び寄る怖さ、がウリなマンガであることはよく分かるが、それでもパニック度をもう少し高めてもらったほうが。

巻中カラー「戦線スパイクヒルズ」。

 スウガクがピンチのまま、次号は休載。よく考えたら、ここまで主人公らのチームは実害らしい実害は被ってないな。そろそろ。

「黒神」

 クロはショートパンツ派だったことが明らかに。って違う。ハンター×2の能力バトルを作画面で100倍増量、駆け引き面で1/100にしたような回でした。しかし、毎度毎度思うが、明らかに説明が足りてないのに、作画のうまさがその点を補いまくってるマンガだ。

死がふたりを分かつまで」。

 少女とグラサン座頭市のナゾがようやくリンクの兆しを見せるラスト。アクションが終わると、どっちにもまだ感情移入できないままの自分がいることに気づく。まぁ、気長にいくか。

鳥維そうし(櫻井そうし)の短期集中新連載「Sled Head」。

 バイクモノでも不良モノでもなく、ホラーサスペンスアクション+サムライダーだった。これはちょっと不意をつかれた。ラスト数ページ間際まで能天気に交わされる主人公ら3人のチンピラっぽい会話が、見開きの斬首シーンの衝撃に緩急をつけて、これがなかなか。次号が待ち遠しい。

「マスク・ド・とうちゃん」。

 4コマにする意味あるのか。まぁ、シュートvsプロレスという何より好きなネタなので、読んでる。

「ニコイチ」。

 意中の人に、女装は隠したまま、子持ちだけバレ。展開がはやくて、次が楽しみ。

「バンブーブレイド」。

 全員野球ならぬ(女子)全員主役のマンガだなぁ。そろそろタマが主人公の位置に返り咲いてもいいと思うが、サヤが毎回出てくれればそれだけで満足な自分もいたりする。

「ユーベルブラッド」。

 たくましい乳首だなぁ。


 スターウォーズゲストイラスト特集。すぎむらしんいちの、ヘルメット無しダースベイダーが、かっこよし。