弁護士山口貴士大いに語る――小泉首相の靖国参拝はやっぱり違憲でしょう

 http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/2005/10/post_78ca.html

ちなみに、愛媛玉ぐし料判決は、住民が地方自治体の違法または不当な財務会計上の行為を問う住民訴訟地方自治法242条の2)に対する判断でした。
地方自治の場合とは違い、国家の違法または不当な財務会計上の行為を問うことを認める訴訟類型はありません。
それゆえに、小泉首相については、「信教の自由」という権利が侵害されたことを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起せざるを得ませんでした。
不法行為に基づく損害賠償請求訴訟」という枠組みで、勝訴するためには、①違法性、②故意・過失、③因果関係、④損害の発生 の4つのハードルをクリアしなくてはなりませんが、憲法20条3項の「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」と定めており、具体的な権利を保障していると解釈することは難しいので、「④損害の発生」の前提となる具体的な権利の侵害を認定させることは、解釈上かなり困難です。
 今回の大阪高裁判決も、①②は認めた訳ですが、④の損害の発生を認定することが出来なかったために、「請求棄却=原告敗訴」という結論を導かざるを得なかった訳です。①②に関する憲法違反の判断は、傍論ではなく、自らの判断の過程を判決文において示したに過ぎません。

(下線は原文ママ)

 違憲判断は、損害賠償請求の根拠にきちんとした理屈が認められるか、その結論に至った過程を説明する上で、不可欠な要素であった。だから、傍に避けておいても結論に支障がないような類のものではなかった、という法曹者の見方。


 無視するなよ、マシリト

私がここに書いたことは、憲法に関する常識であり、別に高度な議論ではありません。小泉首相がそのことを分かっていない訳はないのです。
要するに、小泉首相は、自らの靖国参拝行為について裁判所が「違憲(違法)」との判断を示し、最高裁判所も同様の判断を下すであろうことを知って確信犯的に参拝している訳です。そうでなければ、首相が昨日、平服で昇殿や記帳もしないなど「私的参拝」の色合いを強めたことが説明がつきません。

 分かってやってるにしてもさ、やりたい放題だな、というジャイアニズムを何故、指摘しないマスコミか?