ふと、思い出したので。

5/5のアニメスタイルイベント「長濱博史 男語り!」(http://www.style.fm/as/08_event/08_event_top.shtml)で、長濱監督の話がなんでか脱線したときに、メガゾーン23に流れたわけですよ。「だって、東京23区だから、23ですよ? 最高でしょう!」におおいに笑ったりして。
メガゾーン23を知らない人は適当にググるなりしてくれればいいのだけれど、80年代のOVA黎明期における、まぁ、ある意味、逸品の一つです。
長濱監督が言うには、当時、アニメに携わる人間たちが、やりたかったけれどやっちゃったらそれはどうだろというので躊躇していたことをお前らこういうのがやりたいんだろ? 好きなんだろ? ということでがっつりやっちゃったのがメガゾーン23だと。バイオレス&セックス&ロボット&SFだと。アニメ様も、ストーリーに関係なく脈絡なくバイオレンスやセックスが入り乱れると。
で、かいつまんで言うと、ストーリーのオチは○○○○の中が23区だったというものなんだけれど、「もしこんな未来が本当にきたら、いやこないと思うけれど、もし来たら、おそらく、いや絶対、その未来の人たちも80年代を選ぶ」と。それは、ノスタルジーであり、もっとも豊かでゆとりがあった時代だから、というようなことを語られていた。

あー、そうだなあ、と。80年代につくられたOVAが現代を舞台にしたから80年代になるのは当然なんだけれど、そうだよな、自分も「マトリックス」のように脳だけ人生を送るなら、ずっと80年代が続く世界がいいなぁ、と漠然と思う。メガゾーン23は、脳信号で低コストに済ませる「マトリックス」の今時さでなく、○○○○の中に重厚長大な建設をしちゃったというのがまた、80年代的で。



小黒アニメ様は最近出たというDVDまで買って見たけれど、あまり心を揺さぶるものがなかったと話し、それはアニメ様が初めて観たのは大学生で長濱監督が観たのは高校生だったから、なんてふうにその場でまとって次の話に振られていった。

そこで、また、そういえば、と。自分のOVA初体験も小学生のときに近所の中学生だった木下君に、ほぼ無理矢理な形で見せられたメガゾーン23だったではないか。家に来たばかりのVHSデッキに差し込まれたビデオは、1万円前後で木下君が新品を手に入れてきたものだったはずだ。20年くらい前の中学生にとっての1万円だ。よほど好きでなければ手を出さないはずだ。自分は、悪徳TVプロデューサーに枕営業をしかかるヒロインにハァハァしてたことしか、いまやめぼしい記憶を掘り起こせないが(そこを助けにきた主人公のバイクでプロデューさーが頭をひき潰されていたような……うろ覚え)、木下君はいったい何を期待して、まだ純粋のカケラを所有していた自分にメガゾーン23を見せたのか。


もし、オタク道に引きずり込むことを狙っていたのなら、それを確認できる前に木下君とは疎遠になってしまったのだけれど、今、改めて告げたい。もう、鼻炎は治りましたか?



その後、メガゾーン23のハイプライスなOVA路線から数年が経過した頃、パトレイバーの第1期OVAシリーズ6巻がVHS一本4,800円という当時として破格の安値で発売され、地方に住むカネのない学生オタクたちへ緩やかに浸透していったのは、また別の話。