宮崎学責任編集「直言」佐藤優「外交のワナ」――第6回「『ウルトラ・ダラー』に関する北朝鮮からのシグナル」

 http://web.chokugen.jp/sato/2006/05/post_1e2d.html

第一は、この声明が朝鮮外務省ではなく人民保安省から出ていることだ。北朝鮮でも外交は外務省が窓口になることが原則だ。しかし、麻薬、ニセ札などの問題については人民保安省が管轄しているので、外務省を窓口としても無駄だというシグナルを流している。第二は、麻薬問題、偽造紙幣問題に関し、日本やアメリカが現在展開している情報戦の目的が「わが共和国政府が犯罪を奨励し、はては国際的な組織犯罪集団とつながりのある『犯罪国家』であるかのように喧伝し、国際法と米国の国内法施行の問題を盾に取ってわが国に対する金融制裁、経済制裁の圧迫をエスカレートさせている裏には、本質上『体制抹殺』、『国家転覆』をねらう不純な政治的目的が潜んでいることをいま一度明確に示している」との認識を北朝鮮政府が表明していることだ。北朝鮮外交は「求愛を恫喝で示す」という独自の文化をもっている。今回の人民保安省の強硬な声明を平たい言葉に訳せば、「あなたたちの戦略が北朝鮮の体制転覆にあることはわかっている。それは勘弁してほしいので、早く話し合いをしたい」ということだ。

 ジョンイルはツンデレ