別冊ヤングマガジン 16号

連載再開「RIN」

 新井マンガの真骨頂。飛び散る肉片、うなる電ノコ。「RIN」はボクシングマンガであり、「わーるどいずまいん」では御座いませんことよ?



 繰り返しになるが、主人公であるところの凛の才能の何者にも勝るという傑出ぶりがこの物語の大前提としてある以上、凛の相手方には、凛のその才と匹敵するだけのドラマ、背負った過去、積み上げてきた努力が、バランスの上で不可欠になる。

 で、凛に事実上の宣戦布告をしたヤンマガ最終話(単行本1巻最終話)を引き受ける形の連載再開。描かれた元極道・立石譲司のこれまでは、社会人としては高校中退・板前見習いでしかない凛の19年間を、期待に違わず遥かに上回るものだった。

 立石の「人格」と「怒り」と「戦う動機」が、凛の「才能」とぶつかるこれからが待ち遠しい。



 凛が、あっけらかんとした傍若無人ぶりを隠さず表に出し、それを非難轟々される"孤独"を味わっているとしたら、立石は、不幸な幼少時代と極道時代にくすぶり続けた「笑って人を食らう奴」らへの複雑な感情を誰にも隠して人格者然を通してきた"孤独"をひきずってきている。

 才能の孤独と人生の孤独はリングの上で互いの孤独に共感するのか反発するのかそれともまた別の化学反応を起こすのか。
 新井マンガは、そこでまったくもって意表をついきてくれてばかりなので、そこが本当に待ち遠しいって、なんで2ヶ月も待たされなきゃならんかな!





 階級が一つ違う凛と立石が、どうやって試合をするのか。まさか、立石≒力石のもじりによって、立石が減量に挑むってわけでもなかろうしなぁ。凛がとったばかりのタイトルを返上して、立石の世界ベルトに挑む、……って、そんな相手の立場に寄ってまで試合をする人間ではないし。チャンピオン同士のノンタイトル戦からもう一ひねり。