コミックアライブ 創刊号
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決して取り戻せなくはないが、2、3馬身ほど出遅れての参入、ということになるのだろう。マンガ媒体を通じたメディアミックス用コンテンツの発信という、いまどき当たり前のことについて。
本来なら、MF文庫のアニメ化第1弾「影からマモル!」がスタートする今年1月よりも前に創刊しておいてしかるべきだから。結局、メディアミックスどころか、一般マンガ誌としてもいまいちマイナーなフラッパーでマンガ版の連載を始め、このアライブ創刊で移籍させる形になっている。ほぼ同時期に、MF文庫原作の「神様家族」、「よみがえる空」の2つのアニメのマンガ版もフラッパーで始まって、こちらの2作品はフラッパーに残留している。「よみがえる空」のマンガ版=「レスキューウイングス」はいわゆる萌え系とは異なるが、「神様家族」はアライブで連載してて全くおかしくない。移籍しなかったのは、おそらくもうすぐマンガ版が終了予定だからだろう。*1
そもそも、去年の夏頃には、同じくMF文庫の「銃姫」が、講談社のシリウスで連載予定という情報が出ていた。「銃姫」はそこそこ人気のある作品で、児童文学原作マンガが好調とはいえあえてシリウスに出向させる必然性は薄かった。しかも、シリウス新人賞の出身者をマンガ版の作画担当に抜擢させており、ほぼ完全にMF文庫の手を離れてのマンガ化と言える。*2 そこからすると、去年の夏頃には、まだ、アライブのような雑誌を立ち上げる計画はほぼなかったのではないかと思える。
けれど時期的に見て、「影からマモル!」「神様家族」「よみがえる空」のアニメの製作は相当進んでたはず。すると、アライブのような雑誌を創刊させてメディアミックスを後押ししよう、という話も出てきていておかしくない。それが何故、フラッパーでワンクッション置くような形にしたのか。冒頭の主張に戻ると、内情は知る由もないが、はっきり言って何をモタモタしていたのやら不可解。
アライブは独立創刊しておりフラッパーの増刊ではない。フラッパーの7月号、アライブの創刊号(8月号)に、互いの雑誌の自社広告はない。「影からマモル!」でフラッパーから移籍してきましたという告知はない。年2回新人賞を設けているフラッパーに対して、アライブは年1回で1回目の新人賞発表は来年の9月。気の長いことだ。イチからの新人育成にはさほどやる気が見られない。即戦力としてエロマンガ方面から複数人を引っ張ってきた。それはそれで正解であり、フラッパーの地味で地道な*3新人発掘とは大きく路線が異なる。
何が言いたいかというと、つまり、読者ターゲットが重ならないということだ。「影からマモル!」「神様家族」のマンガ版のフラッパー連載は、かなり中途半端な仕掛けだったと言わざるえない。
編集長の三坂泰二という人は、フラッパーの副編集長を務めた後、MF製作のアニメの関連本などをつくるアクティブコア事業部 *4というところにいた(まだいる?)よう。アクティブコア事業部時代に「陰からマモル!」のアニメ化に携わったようなので、少なくともアニメ放映が始まった今年の1月かその前後までは、アライブ立ち上げは本格的になってなかったのかもしれない。
編集後記で、編集者の一人は、「「創刊」を心(誰のだ)に決めたその日から、ずーーーーーっと「会ってはアポ取り会ってはアポ取り」(作家さんとね)の日々」などと書いてる。誇張も入ってるだろうし、作家集めに苦労したらしいことがそのまま創刊準備の日がなかったことにはならないが、なんとなく突貫だったのかしら、と思った、そんなコミックアライブ。
長々書いたが、個別の作品はそんなに悪くはないよ? ただ、ラブでコメな話ばかりが続くので食傷しないよう、休み休み読んだけど。
♯
「神ぷろ。」(國津武士)
プッシュ1人目。
お得意のロリ兵器投入。貧乳のちびっこ戦神が、流行らない神社に派遣されてきて、慣れない縁結びのお仕事に頑張る。
えーと、手甲萌え。エロ仕事とクロスオーバーさせて、貧乏神ちゃんと死神ちゃんが登場してくれないかしら、と願う。
巻中カラー「まりあ†ほりっく」(遠藤海成)
「遅かったじゃねぇか 百合娘」と言い放つ女装少年がキャラ立ってるねぇ。昨今の百合プチブームを逆手にとった設定が個人的に好感。初めてまともに読む作家だが、ゼロサムの人気作家だけあって、この面子の中では安心して読めた。
「モモタノハナ」(井ノ本リカ子)
プッシュ2人目。
エロ方面では抜群に評価の高い人。さらっと流したような線で描かれる服の上からのなんとも言いがたい乳の膨らみと、コマ割りで表現される独特の間(ま)が心地よい。
巻頭カラー「しはるじぇねしす」(近藤るるる)
この人が一番、引っ張ってくるのが難しかったんじゃないのかな……。きっちりお仕事。
「デイドリームネイション」(kashmir)
プッシュ3人目。
ネット界隈では、kashmirに連載を始めさせたというそれ一点で買い、という人は少なくなさそう。可愛い顔してとぼけた毒をコマの外で吐く女子たちこそが持ち味。ほどよいエロもいい感じ。
「知られざる世界」ネタとか分かる人いるのか。つぶやく女子の背後に例の牛タイトルバック。原始人が洞穴に描いた絵だっけ? あと、提供してた電機メーカーって日立だったかTOSHIBAだったか……。
巻中カラー「ガイスターバーン」(山本賢治)
求められる仕事をきっちりこなしてます第2段。母親の死体に、グロOKなんだと思うより先に、乳首OKなんだと思ったり。
「叶えてアイゼン」(源ゆう)
お守りの精に女子へ性転換させられてしまった男子が、それとは知らない幼馴染に親切にしてもらう中で、自分への思いに気付かされる。ベタだが、よくまとまってる。月チャンで連載を始めるようでそっちも読んでみようと思う。
「おまかせ精霊(スピリッツ)」(青本もあ)
プッシュ4人目。
どっかで読んでるなぁ……と思ったら、モホロビチッチ方面の人だった。まぁ、自分の場合たいていティアだ。同人ネームは、うにへぇ。
「精霊研究会に入りませんか!」と勧誘してきた美人だけど電波さんは、実は……という第1話。黒目がちで黒ベタな髪のキャラクターがたいへん気に入り。話としては、他人の彼女に惚れるような切なさが少し。
「ムクロヒメ<骸姫>」(龍炎狼牙)
この人にしては、登場人物の等身が高い。意外に一般は初めてか?
「ぼくらのらぶたいぷ」(ひな。)
人間の悪の思念を取り出して犯罪解決が可能な能力を成長途上にしている少年と、校内で何でも屋をやってる元気少女の出会い。つーか、それって、ロボトミー化能力。
「はぴねす!」(藤井理乃)
あと、えろげ原作のマンガを載せてる雑誌が少年誌を名乗っていいのかとは思うんだ。
月刊 comic alive (コミックアライブ) 2006年 08月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2006/06/27
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