「串刺しヘルパーさされさん 〜呪われチルドレン〜」(著:木村航、イラスト:中村哲也)HJ文庫


 イラスト担当買い。ラノベの正しい買い方。


 いろいろとネタを詰め込みすぎ。それぞれのネタが何か一つのカタルシスの周りをめぐりながら収束してうまくつながっていく……、ような構成になりえていない。

 人間の精神が生み出すエネルギーを「精気圧」と呼称し、それが社会全体の平均値より低い場合によくない狙いをもった依代に憑かれると「呪われ」てしまい、洋風の剣に串刺し(鳩尾→背中)にされちゃったり、オマルにストーカーされちゃったり、金魚蜂の中でクトゥルフな毎日だったり、誰かを手を繋いでじゃないと家に帰ってこれなかったり。
 串刺しなヘルパーさんの活躍(ヒロインの明かされない重要そうな過去)と、もう一方の物語の柱である、ヘルパー先の子供たちの演劇話(人間的成長のお話)がどうもうまく絡み合っていない。


 新創刊のレーベルでここまでやりたいことやらせてもらえて、作者は本望だろう。これは編集方針の懐の深さなのか。ライトノベルってなんでもありって意味も含んでたっけ。含んでるんだろうな。






 なんで、串刺しなのかって? それは読めば……きっと……。