サイレントヒル(監督:クリストフ・ガンズ)

 池袋シネマ・ロサで21:00の回。



 ゲームのほうは未プレイ。好きだった「刻命館」シリーズの傍流だろうということで購入してみた「零」を、あまりに怖すぎて途中で放り出した自分に、手を出せる分けがない。幽霊が近付く(プレイヤーはまだ視認できない)と鳴り響く、ドゥーンドゥーンヅォウーン……という重低音が心臓に悪くて。思い出すだけで震えてくる(脳内の振動コントローラーが)。



 で、未プレイなのだが、おそらくゲーム版よりは怖くない、のではないか。ゲーム原作ということで、シナリオがいちいちフラグを消化していくように進む。サイレントヒルにやってきた母親が娘とはぐれ、一通り恐怖の歓迎を受けたあと車に戻ってみたら、娘の絵でSCHOOLの写生がありました→SCHOOLを探検だ!とか。懐中電灯とかナイフとか、いかにもゲーム的なアイテムを手に入れる場所やシーンの演出の仕方とか。ここまで進行させましたハイ、セーブして次、という。それが興を削ぐ、と言えばそうだし、ストーリーを分かりやすくしていると言えばしている。



 それでも、オカルト映画として、なかなか観れた部類に入る。ゲーム原作モノ、と舐めたもんでもない。奇妙な言動をとる娘を助けようとサイレントヒルに向かった母親と、それを止めた父親のすれ違いが、二人が迷い込む「次元」のすれ違いとしてクロスしていく。すぐそこにあるのに触れることのできない(あるいは触れたくないのに触れてしまった)「あなたの知らない世界」を、心のすれ違いに裏付けさせることで、深みが増す。



 滑らかに引き攣った皮質のクリーチャー達(地下火災で放棄されたTOWN、という設定なので、熱に溶けてるのだろう)と、じめっと濡れて赤錆びた壁や床や扉は、よくマッチしてる。マッチしてるということで、胸糞が悪い。映画の狙いとして正解。小学生の頃に深く刷り込まれた、アニメ版「はだしのゲン」の記憶を呼び覚まし、さらに胸糞が悪い。焼け焦げた○○○の姿は、通学路に張ってあった共産系の政党のポスターで使われていた空襲で黒焦げになった子供の写真を思い浮かべさせ、やはり胸糞が悪い。



 クリーチャーの一部は、いかにもゲーム的で、約束事として必要なのだろうが、浮いてると言えば浮いてる。大剣を振り回す三角形の鉄の頭をしたボス的クリーチャーとか、頭を包帯でぐるぐる巻きにした看護婦ズとか。シナリオの柱としてある、母親と娘の絆とか、狂信的な魔女狩り集団とか、そこのところとうまくは相容れてない。看護婦ズは、恐怖よりエロスが立ち昇ってしょうがなかった。素肌に直接着用した看護衣からのぞく、血の気の失せた胸の谷間が。包帯の隙間から(手に持った小型ナイフで母親の首を掻っ切ろうと)ハァハァ息を洩らしてるし。



 あとは、そうだな、娘役のジョデル・フェデランドは、正常モードより、TOWNについてからの前髪を垂らした裏モードのほうが断然可愛いかった。



参考:公式サイト