マガジンZ 10月号
新連載・巻頭カラー「ジャバウォッキー」(久正人)
本屋で平積みの表紙を見て、息を呑んだのは久しぶりだ……。
第1話52P+第2話55P=一挙107Pで登場。
帝政ロシアは末期、
大英帝国情報部から女スパイ、
葉巻とハードボイルド、
シングルアクションでガンアクション、
アメコミ調のモノクロ反転、
そして、
恐竜。
「グレイトフルデッド」最終話で琥珀の封印を解かれ、上海の街を瓦礫に変えていた巨大キョンシーは、2年越しの前振りだった。
雪の降り積もるレンガ造りの街を追っ手から逃れて立ち止まれば、目の前で、かつて身を包んでいた鎧を三つ揃いのスーツとトレンチコートに変えた、マメンチサウルスにパキケファロサウルスにプロトケラトプスが振り返る。
前作に比べて、大ゴマの使い方がより大胆さを増し、心持ちセリフの数を抑えたアクションシーンはロシアの凍るような空気を纏っているかのごとく冷徹に、それでいてこちらの胸の内を通り過ぎていくときには熱い興奮を残していく。
主人公は、卑しい一族の末裔と言われ、ほかの種族に虐殺された最後の生き残りの恐竜。恐竜が嫌悪する卑しさとは何か。連載一回目で描かれた理由、だけで説明できる物語にはならないだろう。
待ち侘びた作家の新連載。まさかZを毎号、買うことになろうとはなぁ……。
月刊 マガジン Z (ゼット) 2006年 10月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/08/26
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- 作者: 久正人
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補足。
問題が一つ。「グレイトフルデッド」で、娼館「壺中天」で働き客をとって霊幻導師として能力を発揮するための「精」を蓄えていたコリンの初々さが、この2年の間の絵柄の変遷で、女スパイの顔から受け取れなくなっている。ウエケンの「夜は千の眼を持つ」でときたま登場する女3人組みのような顔になってしまっている。柔く、それでいて力強い、コリンの描線は、当分復活を見ることはないのは、それで寂しい。