ブラッドで2題。


 少年ブラッドを出してるモピーダ・エンターテインメントの持株会社モピーダ・ホールディングスと共同印刷が、ネットや携帯でマンガを配信していくための合弁会社デジタルカタパルト」を9/1設立。



 http://www.kyodoprinting.co.jp/release/2006/nr20060822.html



 6,300万円の出資比率は81%がモピーダ、19%が共同。代表者は不明。モピーダHD側にあがってるリリースも内容は同じ。
 ブラッドは共同がつくったフルデジタルマンガ制作システム「ComicPacker」を導入していて(http://d.hatena.ne.jp/bullet/20060704#p1)、その流れ。共同が「ComicPacker」で計画している「初年度100億円、3年後に150億円の売り上げ」の中に、この合弁会社の分も含まれるのだろう。
 リリースで注目されるのは、「低コストならびに高品質なまんがコンテンツ」と「デジタルコンテンツの配信チャンネル開拓、翻訳およびフォーマット変換」。
 今のブラッドに掲載されているマンガを、高品質、と読んでいる読者がどれほどいるのか……。ブラッドHPで無料公開している「ヒャッコ」(珈琲)、「ねこもころ」(乙佳佐明)、「キョンシー仙女」(鳥居大介)のほうが、まったく読めるレベルなんだよね。どうして有料の本誌にこれらの作品を掲載しないのか。紙媒体よりネット配信に未来を信じているというのなら、ある意味、客寄せ策として正解かもしれないけど。低コスト、の部分も、デジタル制作による達成はもちろんそうなんだろうけれど、仮に、あまり辣腕とは言えそうにない編集者と新人ばかりの作家陣によってもそれを達成しようとしているのなら、ぷだぺんな、ではある。
 出資比率でモピーダが先行。共同の150億円という計画を考えると後々、共同の比率を高めていくオプションがついてるかもしれない。あと、マンガ家を目指す卵の親達からの授業料で儲けてるアニメ・マンガ系の専門学校なんかも、新創刊するマンガ誌の編集の人間にときどき原稿を見てもらうくらいで淡い期待を持たせてお茶を濁すんではなくて、こーいうコンテンツに餓えてる新規事業に数%でも出資すれば、本気度を見てもらえるんじゃないかと思ったりするんだけど。


 それと翻訳という単語、つまり海外進出。海外向けのページをつくるのか(こんな感じで→http://www.gentosha-comics.net/genzo-e/index.html)、海外のネットマンガサイトと提携するのか、いろいろ手段がありそう。アメリカ版ジャンプを出してる日本の出版社の現地法人とも提携するとか。でも、そっちは日本で人気の確定したヒット作品しか扱ってもらえそうにないので、合弁会社が自前で育てたコンテンツしか用意できないなら(他社の人気作の版権獲得などをやらないなら)、数年単位で見るべき事業になるのかな。





 そのブラッドが主催する、ネット上で一般投票による大賞100万円を決定するバーニングブラッド賞は、8/25まで予選第2グループの19作品の投票を受付中。



 http://web.comicblood.jp/burning/w_BBC1_B1P2_1.html



 第1グループは、うーん、なレベルの作品ばかりだったので投票を見送った。第2グループは、まだ読める作品があったので、締め切りまでに投票するかも。「FestiveDayS! 」(絶牙)が一番破綻なくまとまっていていかにも続きがありますよという感じなので票を集めそう。投票するのに、作品を評価するか、作家の将来性を買うか、絵柄を買うか、ブラッドにないテイストの作品の掲載を希望するか、それぞれ基準はあると思うけれど、自分は単純に「19作品の中で一番面白かった作品」に投票しておくことにする。新人賞や選ばれた審査員が選出するマンガ賞というよりは、格闘技トーナメントに近いものと捉えたので(絶対評価なら100万円に値するほどの該当作はナシ、なんだけど、トーナメントなら誰かは1位になれる)。




 しかし、ブラッドってある意味、毎月本誌で新人賞やってるみたいなもんだよね……。