イブニング No.09

第4回イブニング新人賞 THE CHALLENGE・古谷実大賞「となりの殺人事件 アナザーストーリー」(真鍋誠)

 明日までに手書きでレポートを提出しなければ留年決定というのっぴきならない大学生の部屋に、いきなり押し込み強盗が登場。さらにそこへ、隣の部屋で昨晩起きた殺人事件の聞き込みに刑事がやってきて……。
 何気に新人賞のレヴェルが高かったりするイブニング。今回のテーマは「告白」。テーマに合わせてイチから企画を立てたのなら、その構成力の高さに注目しておくべき新人。63ページの分量がまったくたるくない。本棚の上に電子レンジを置いた大学生らしい部屋のレイアウトやなんでか美味そうに描かれた鍋の中身など、奥行きを出す描き込みもきっちり。タイトルに「アナザーストーリー」とつけてるのは、殺人事件そのものをを本題にした企画が前にあってそれを膨らませたのか。やけに頭の回る目だし帽の若い男がなんで包丁で強盗なんぞをするに至ったのか、そこが明確に描かれなかったので、もしくは強盗を主人公したお話を考えていたのかもしれない。まったく縁のなかった登場人物が順番に出てきて絡みあい互いの生い立ちを明かしながら最後に一つのナゾに決着がつくというストーリーは、ちょっとした演劇台本に使えそう。しかし、審査員の古谷実が「総合力で一位」の作品を大賞に選出するタイプの作家だったとは、そこはちょっと驚いたかもしれない。



 あと、連載作品だけど、前号から新章が始まった「勇午 横浜・横須賀編」(作画:赤名修、原作:真刈信二)の、例によっての拷問シーンがひどかった。というか、なんとも困った。こりゃ勃起するって。しとどに花弁を濡らす勇午、って、そりゃどうだろー。