コミックエール! Vol.1(創刊号)

エール!創刊号



 芳文社の雑誌立ち上げは、増刊枠をあるだけ使い切るようなスピードはあっても作家や作品の練り上げは足りないのかね? 先んじて創刊されたコミックシルフ(http://d.hatena.ne.jp/bullet/20061221#p1)に比べると、改めて他誌の作品や同人を追いかけてみたくなるような作家や作品がいない。もっとも、「溺れるようにできている。」のシギサワカヤは同人で、「純真ミラクル100%」の秋★枝はWARDとREXで、「逢魔ヶ刻の僕と君とアレとアレ。」の睦月のぞみはライトエロマンガ誌で、「ラブイーブン」の須田さぎりはアライブで、すでに追いかけているから、というのもある。読んでみたいと思った一見さんは、「すいーとりぼん!」のかたぎりあつこくらいか。
 読者層として「女のコ」がまず先にあるシルフと、「男のコ向けの少女まんが誌」をうたうエール!では、作家の層も違ってくるのだろう。エール!が目指す(ように見える)のは、シルフやアワーズ+系やゼロサム系の若干男のコ寄りのカテゴリではなく、「コミックハイ!」イコールの男のコど真ん中のようだ。「コミックハイ!」は時たま立ち読みするくらいで、「つぶらら」サイン会の男臭さ(http://d.hatena.ne.jp/bullet/20061125#p1)にちょっと驚いた自分としては、この創刊時点では、溶け込みにくそうなカラーだな、と言ってしまう。「シルフ」がうたうキャッチコピーの“かわカッコイイ系”は、それに表されるカッコイイ成分の分、かっちりした読み応えがあって、女子向けメインにしても男の自分が読んで中々、面白かったりした。「男のコ向けの少女まんが誌」ってのが、あざとく感じるのかな……、とも思ったが、そこは考えすぎか。その語感に、「女のコ向けエロマンガ誌」「女性向けAV」と似たような錯誤がありそう?とか、勝手な深読みだね、おそらく。それか今更「男のコ」って言われたくない、言われるトシじゃない、そもそも「男のコ」って誰? とか。
 しかし、シギサワの作品は雑誌の中で見事に浮きまくっていて、もっとやれと煽りたい。言えば、カスタードと生クリームの2色シューの中に、何故か大粒の干しイチジクが紛れ込んでた感じ。
 秋★枝は、REXに前に一度載った東方マンガでは、「成恵の世界」の人+E=mc2な絵柄であるなぁというくらいであまり視野に入らなかったのだけど、ゼロサムWARD Vol.15に掲載された読切「先生+」でHITした作家。小学生の男子が大人として振舞えるもんか?とか、言い出すと穴がいくつもありそうできりが無いのはそうとして、読後の切なさがちょっと尋常じゃないところに入ったので。付き合ってる大人の女性が本当は、自分が担任の女子小学生だったとしたら、なんてお話はエロマンガにごろごろしてるけれど、男女の立場を逆転させると、こんな切ない話にもできるのね、と。
 あと、どんなにしょぼくてもいいから、読者コーナーがないと、雑誌が安く見えるので、至急どうにかしたほうがよろしい。