「たくらまかん展覧会」(田倉まひろ)SERAPHIM COMICS


 阿ロ云の有望株の初単行本。
 よく動き、可愛らしさも同居するキャラクターの表情が、今のところの一番の武器。新人だけあってか、いろんな引き出しを自分の中から出していこうと、あの手この手で読切の中に起伏をつけようと頑張っている様子に、好感が持てる。
同系統の絵柄の作家だと、吉川かば夫が、女の子を可愛く描こうとしてしまっていて、イマイチはっちゃけられないでいるけれど、新人の無謀さもあって勢いでノビノビ描いている*1。ストーリー重視エロマンガ誌の阿ロ云だからこそ、伸ばしていける作家だよなぁ。
 収録作品で気に入ったのは、縦ロールお嬢様のデカパイに挟んだ少年のチンコを両サイドからセバスチャンな執事が絶妙なテクでこねくり回す“お嬢様3分クッキング”、幼い頃から面倒を見てくれていたメイドが実は○○だったという一粒で二度美味しい“ふたつぎぬ”、雑誌掲載時に「グレェト!!」じゃねえだろ!と思わず叫んだ怪作“ばっちゃのねこ”、デビュー作にしてぎこちないオチだけど自信なさ気なセーラー女子の王道振りが良かった“三白眼の彼女”、あたり。


 あと、田倉を含めて、これからの阿ロ云は新人が伸びてくると思うので、注目損なしかと思う。霧恵マサノブおおとりりゅうじ昭嶋しゅん、あたり。中堅人気どころは、真海、流一本、あきやまけんた高岡基文幸田朋弘は息が長い。不定期だけど載ってればうれしいのは、井上よしひさ、摩訶不思議。「娘。」シリーズに一区切りつけた師走の翁は、読切でシリーズをまだ続ける模様。正直、外伝的な「娘のいる風俗ビル」シリーズのほうが、はるかに使えるのでそちらのほうがうれしい。


たくらまかん展覧会 (セラフィンコミックス)

たくらまかん展覧会 (セラフィンコミックス)

*1:それとも吉川が手馴れてしまったのか。アライブで連載してる一般向けの「はんな」は、はっちゃけ過ぎて、連載の序盤は読み手を混乱させるくらいだったので、本人はエロと一般で異なる求められるものを描いてる考えなのかもしれない