「だって貧乳だもの。」(永間ひさし)WORLD COMCIS SPECIAL
切ねぇようで切なくないかも、なんですよ、これが。
久保書店の貧乳シリーズに掲載された作品を収録。単行本としては2冊目になる寡作な作家。初単行本の「乙女系図」はもう、版元がなくなってる。で、自分が注目したのは、初単行本や初期の頃からではなく、貧乳シリーズに掲載され、この「だって〜」に収録された「ねーちゃんにハマるときは突然。」「ねーちゃんはどう思っているんだろう」の連作。
ぶっちゃけ、「デザイン会社事務職、好物は納豆、いつも髪のセットが甘い、23歳」という「ねーちゃん」がストライクゾーン。見るからに場の雰囲気に流されやすそーでいて要所要所で「ねーちゃん」面してネコパンチ的な威嚇を混ぜてくる、掴みどころのない感じが、たまらない。
でも、不思議ちゃんとかとか妖精さんとかそーいうんではなくて、マンションで二人暮しの同居関係にある弟クンの片割れという、良いも悪いも知り抜ける間柄。普段からよくプライベートを話す中で、最近、彼氏と別れて、まだしこりが残っていることも弟クンは知っている。「ねーちゃん」が酔って帰ってきたある夜、別れのつらさを忘れたくてネットで知り合った行きずりの男と寝たんだー、という何の気も無い発言を聞いて、背後から抱きしめてしまう。
いたした後、「も……/信じられない…」と口を尖らせ、数日経ってまた求めてくる弟クンにショーツを脱がされながら「絶対やばいよォ……」と口を震わせ、なのに、そこにあるのは怯えだけ? と思わせる(読み手に誤解させる)シチュエーションの作りが、実にうまく嵌ってる。
お互いに好きも嫌いも分からない、どちらが主導権を取るでもない。いっしょに生活しているのに「その時」だけ、行きずりで勢い任せで熱情に浮かされたような関係が吹き上がり萎んでいく。
とてもあいまいで、これが始まりなのか終わりなのかも分からないけど、ずっと続いていきそーな、そんな関係。
そんな関係で満たされるココロの内があってもいい、満たされてみたい、と思えるのです。
巻頭カラーの見開きが左右逆になっちゃったミスとかは、まぁ、許そうじゃないか。
今年のエロマンガTOP5を上げるとしたら、4月に出た裏次郎の初単行本と8月の上乃龍也新刊と12月に出るゴージャスのキャノン先生ですでに3本が確定して、枠はもう2つしか空いてないのだけど、そこに滑り込ませておきたいなぁ。*1

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