さきほど、事件が起きた同じ時刻に訪れてみた。

レトロゲーム屋がマリオのテーマを大音量で流し、アソビットの前で白黒フリルのメイドが看板をもって呼び込みするいつもの光景の横で、テレビカメラを担いだ何グループもが大げさな驚きの顔つきや神妙な表情を浮かべてそこかしこを撮影していた。
緑3ナンバーの黒塗りロイヤルサルーンクラウンやセドリックが、中央通りと言わず容疑者が確保された路地や別の路地まで、半径50mくらいの間隔で何台も路駐していた。背中に警視庁とマーキングされた見慣れないカラフルなツナギの警官をよく見かけた。
交差点のソフマップの前に、万世橋警察署の白テントが立てられ、献花台になっていた。テントの周りをカメラやテレビカメラをもったマスコミが取り囲んで、献花に訪れた人に向かって一斉にばしばしフラッシュを焚いていた。夜に献花にいこう。
例の路地は、露天の時計屋の近くで、道に対して垂直に人の輪郭をした白いチョークの跡があり、雨で消えかかっていた。
次のホコ天で、事件が起きたのと同じ時刻に、皆で集まって黙祷すればいい。