「FLAU」9/28号

 4人の顔出しが初めてという、CLAMP特集のために購入。
 「FLAU」は一度も読んだことなどないわけだが、一読して、20歳代中盤〜後半あたりをターゲットにしてるのかなぁ、という印象。割合お金のかかる余暇やファションを楽しむ余裕のある、それでいて仕事、恋愛もそれなりに順調という、ハイソサエティなライフスタイルのお手本が並んでいる。当然、ダイエットや通信教育なんかの広告は一切ない。
 で、肝心の特集だけど、そういうスマートな生活にあこがれる、またはすでに営んでいる女性が共感しそうな要素を、CLAMPの4人の中からインタビューコメントとして抜き出して、地の文で方向性を与えながら構成されている。「ツバサ」の今後のストーリー展開は?みたいな個々の作品への質問は、まったくない。
 つまり、本文から抜粋すると、仕事については『女友達の延長線といった馴れ合いの雰囲気もどこにもない。大川さんのリーダーシップのもと、それぞれが、それぞれの仕事をプロフェッショナルに、こなしていく。』、そして恋愛についても『あくまでも自立した――自分の感受性は自分で面倒を見ることができる――インディペンデント・ウーマンの集団なのである。』、そんなベクトルで統一されたCLAMP(まぁ、最近ではマガジンの「ツバサ」でさらに顕著に、分かりやすくなったCLAMPの戦略性の高さは、他のメディアミックスの多いマンガ家と比べても、群を抜いてるから、そういう切り方をしやすいマンガ家ではあるとは思う)。
 苦労話は出てくるけど、それがマンガ家ならではの種類のものかと言えば、そうじゃない。上京してきたばかりの時、『「ひとりで寝たいときは押入れの中で寝てました。」』あたりが、それっぽい印象があるが、ほかは、どんな共同作業にもあるような、忙しいから自分の時間が欲しいといった、分かりやすいけど具体性のない、濃い話ではない。間違っても、トーンの切れ屑にまみれるような仕事振りは想像もさせない、まとめ方になってる。
 『CLAMPの仕事場を訪れる人は、「デザイン事務所みたいだ』という感想を漏らす人が多いという。』といったイメージは、まぁ、確かに自分のようなアニメ以外のCLAMP作品が守備範囲外のオタクにとっても、そんなに大きくずれるものではないけど。『マンガ以外の唯一の共通点は、コスメ好きなところ』なんて紹介の仕方も、女性誌だからあって当然なんだが。
 インタビューのラストの方では、もうすぐ4人の公私ともに渡った共同生活に、私の部分でピリオドをうって、個々の活動を活発にしていくという内容が出てくるけど、その宣言の媒体として、「ぱふ」や、今はやりの個人特集本(「CLAMP大全」みたいな形で)を選ばず、「FLAU」で15ページを組んでもらうほうを選んだのは、また4人なりの戦略があるんだろう。全員が私服で撮られているくらいなんだから。
 しかし、いがらし寒月(旧名五十嵐さつき)氏は、ポストさかもと未明でも狙っているのか、というファッションだな。