居酒屋対談 時間のムダ 第4回『低価格ソフトってどうよ?』

http://www.game-style.jp/muda/200411/19/01izt_ml.php
 
 結構な賛否両論、というか何言ってんだ稲原的な突っ込みがほぼ多数を占めた前回の居酒屋対談から、2ヶ月ほど空けてようやく4回目がアップ。稲原氏、確信犯でしたか。今回はシンプルシリーズのD3パブリッシャー広報の人を交えてエロゲで低価格ソフトを売るには。

「そういう話を聞いて思うのはコンシューマと違って、エロゲー業界はなんで独立愚連隊なんだろう……」
「もっと共同でやっても良いと思うんですよ」
「周りが信用できてないんですよね。八方が敵って感じで」
「あと、外に対しての広報的な人間ってのが少ないと思うんですよ。いたとしても自己の利益で手一杯になってるんですよ」
「単純にそういう状態が確立された背景って、まずエロゲーには企画がないんですよ。どこの会社も『企画ねぇ〜』って言ってて、没になったのを回そうともしていないんです。ディースリーさんみたいな低価格ソフトが出てこない理由の1つはそこにあるんじゃないかなと」
「セールスにおける要素をまったく考慮されずに作られたソフトがあまりにも多いからなんです」

 クリエイター(志望者)=経営者という体制のところがほとんどだろうから、ネタの持ち出し持ち込み、人の出入りについて、儲け方とか売り方の視点は自ずと入りにくいんだろうとは想像できる。

「コンシューマは市場として確立されてると思うんですけど、それに比べるとエロゲーってクリエイター気質が強すぎるんですよ。経営に携わる人間もプロモーションに携わる人間もクリエイターの人間が多いので、ウチは他メーカーとは違ったオリジナルとかそういうところに異常にこだわりを持ってるんですよね」

 「らくえん」とか稲原氏のとこの「FOREST」はもっとうまい広報をすれば、よく売れた典型だと思いますよ。

「『SIMPLE』でもいわゆるギャグゲーっていうのは売れてるんですよね。やっぱり潜在的にそういうのを欲している人がいるわけなんです。そういう人たちって言い訳が欲しいんですよ。5,800円でゲームを買って彼女が来たときに『ゲッ!』って思うわけじゃないですか。でも、安かったら『あ、これ安かったし、やってみたくてさあ』って言えるんですよ(笑)」
「その感覚はライトユーザーになればなるほどあると思いますよ。秋葉原のショップに行って買うっていうことが怖いユーザーがいるんですよね。実際にリリスさんのダウンロード販売がバカ売れなわけですし。で、それを買われてる年齢層って、おじさんおばさんが多いらしいんですよ」
エロゲーって買う世代が凄い狭いんですよ。20代後半から30代がメインで。当たり障り無いギャルゲーならもっと広く売れるでしょうけど……」
「あの秋葉原の異常な空間に行って異常なソフトを買うっていうのは、40代以上ののスーツを着たサラリーマンにしてみれば難しいんですよ」
「異常っていうな(笑)」

 途中の20歳代後半〜30歳代がメインというところにひっかかっていたところ(スーツ姿で買うのって難しいんですか?)、

「僕(=稲原氏)が今ものすごい怖いのが、ユーザーの平均年齢が我々とともに上がってるんですよ。要するにウチのメーカーの裾野が広がっていないんですよ」
「ウチもそうでした……。4年前に調べたのと、最近調べたのと平均年齢が同じくらい上がってるんですよ」
「それで、ウチのユーザーに他にはどんなメーカーのゲームをやっているのか聞いたんですけど、結構な確率で『他にはやってない。興味ない』って言うんですよ」
「それはまずいですね」
「この先、ウチが失敗したときにそのユーザーさんはこの業界から逃げて行っちゃう可能性が高いんですよね。有り難い反面、リスクと責任感も強く感じます」

 ライアーの独自路線、コアな顧客を囲い込みたい路線が、やはり裏目に出ている部分もあるのだなと、ある意味、稲原氏の正直さを感じる。けど、10代後半〜20歳代前半を食いつかせきれてないというのは、メーカーとしては危機感あるだろうな。税抜き定価8,800円というソフトの代金が、その世代にとって、どれほどの値打ち、負担であるのか、すでに社会に出た自分にとってはいまいちもう実感しにくい部分ではあるのだけど、がんばって平均月2本を購入していたとして、そこに年に2回ライアーの作品を滑り込ませるだけの広報活動を一般エロゲーマーにできているのか。そこを見直す必要があるんだろうな。「黒い切符」の反応もそこそこあがってきているころだと思うけど。

 ところで、稲原氏の最後の発言、

エロゲーメーカーを買い取って子会社にすべきですよ(笑)」

 なかなか、意味深な発言だな(笑)。