「監督10周年記念 大地丙太郎、語りまくりっ!」②

 で、第2部。落ち着いた安原氏とはまったく系統の異なるゲスト、最近だと「十兵衛ちゃん2」の小田豪鮎之介役をやってた齋藤彩夏さんが登場。現役高校2年生の17歳ということなので、敬称はさんで。なんというか、かないみかの後を継げるのは彼女しかいないと強く思わせる声。ひさびさに、キャラクターそのもので圧倒される芸能人をナマで見た日として記憶する。


 映画「トイレの花子さん」のオーディションで、相手役のこおろぎさとみ氏の演技をポカーンとして見上げていた齋藤さんを抜擢したのは、「なるべくたどたどしい人を選ぼうということで」(大地)。ほかの子役は、母親に妙な演技指導をされて送り込まれてくるので、その不自然さが鼻についたようなことを話していた。

 声優になりたいと小4の頃の齋藤さんから大地監督が相談されたときの話。
 「前例がないから困った」(大地監督)。職業声優は一部の人以外使わず、自ら発掘する方針の自分はいいけれど、自分しか起用しないことになるかもしれないし、と、当時は正直目指してほしくない心情だったことを打ち明けていた。でも、その後はノンタンこち亀クロ高やマリンとめらんにも出演する多彩な活動ぶりに「オレの知らない仕事をやってるのはいいこと」「大地作品は偏屈だから」(大地)と歓迎していた。


 このあたりで大地監督が、内容は忘れたが何かの話題で相槌を求めて、いつのまにか座敷にいた佐藤竜雄監督に「たっちゃん」と呼びかける。齋藤さんが「オレ、たつお!」と似てるのか似てないのかよくわからないモノマネ。「そんなかわいい竜雄はいない」(小黒)。ほかに小ネタで、「ナースエンジェルりりかSOS」のオープニングは「夕陽ヶ丘の総理大臣」のパロディ、とか。


 制作に入ったのは「りりか」より早かったという初監督作品になり損ねた「妖精姫レーン」について。このイベントのために全2話を3回見直したけれど、ストーリーが分からなかったという小黒氏に、「分からないがレーンのコンセプト」(大地)。
 ヒロインの妖精と主人公の自称冒険家が、互いの早口セリフがまともな意味をともなった日本語として聞こえないまますれ違いの理解で会話が進んでいったり、訛りのきついキャラクターの言葉を女性キャラ1人以外理解できなかったり、そーいうアニメなんだけれども、

  • 「会話が成立していない」(大地)のは脚本段階からの案
  • 初めはHビデオの企画だった
  • 全3話の予定が、売上の問題で2巻に
  • 13話シリーズ化の話があった模様
  • 企画側の要望として「チャチャ」のマシンガントークの再現があった

などがあがった。

 ここでいきなり大地監督が、齋藤さんへのホワイトデープレゼントとして餡蜜セットを取り出す。齋藤さんと普通に雑談トーク開始。完全に2人だけの空間になってしまい、小黒氏が「こっちで別のこと話してようか」と原口氏を誘うと、「つないでて」とまったく動じない大地監督。話が本線に戻った後、餡蜜セットを箱から取り出して食べ始める齋藤さん。もらったプレゼントをその場で開封するタイプなんだなー、というか単に天然か。でも許せるタイプだよ!


 大地監督の名前を最初に広く知らしめた「こどものおもちゃ」話。自分もこれではまったわ〜。
 小黒氏がマシンガントークの当時におけるインパクトのすごさを振ると、大地監督自身は1〜3話までは、音響面に納得がいってなかったことを、途中で交代劇あったことなどを交えて語る。「2話の金春智子の脚本で、ノンストップ紗南ちゃん(の方向性)が決まった」(大地)。
 音響面への不満の事情はググったりもしてみたけれど、正確には確認できず。ただ、過去多くの大地作品で音響監督を担当してきた田中一也氏の名前がイベント中はしばしに出来ていたので、そのへんの厚い信頼関係はうかがえた。
 
 「りりか」でスタッフの褒め方を学んだという話。

  • 初めて監督業をやって、代理店やプロデューサーといったえらい人と会議をしたり飲む機会ができるようになった
  • そこで、作画担当の渡辺はじめ氏のことを、えらい人たちが褒めてくれるので、自分でもうれしく思い、さっそく渡辺氏に伝えにいく
  • けれども、もちあげてどうしようってんですか〜、と渡辺氏は信じようとしない。「りりか」の制作が終わる頃になって、やっと信じてくれるようになった
  • 現場のスタッフは褒められることが全然ない

 それは、悲しいことだと。このあたりはさすがに聞いてる側でもシミジミした。
 
 褒め方の話では、「りりか」で初めて声優に、しかも主役に挑戦した麻生かほ里氏が、大地監督に演技の出来を聞きにきたのを、けれども初監督で自分のコンテ作業で頭がいっぱいで「いんじゃないの?」とすげなく返してしまったことも、悔やむように話していた。あとで、人づてに「冷たい」という麻生氏のコメントを聞いてしまったらしい。
 で、「りりか」で監督業のきつさを味わったので、当初は「こどちゃ」の話は断るつもりだったけれど、アサツーDKのプロデューサー(別のえらい人だったかも)に面と向かって断りを告げた後、すぐに相手は説得にかかってきて、一方で大地監督自身は、原作の紗南のひたむきさに比べて自分はかっこ悪いなぁとその場で心変わりし始め、途中からはもっと説得してと心のなかでせがんでいたとのこと(笑)。ぎゃろっぷの社長に「2度やってみて、監督(の才能があるかどうか)は分かる」と言われたエピソードなども。

 このほかの「こどちゃ」話は、

  • スポンサーのトミーに、おもちゃのタイアップは、現物がないと作品で登場させることはできないので製作現場におもちゃを持ってこいといったら、ほんとにもってきた
  • いっぱいもってきて全員に配り、その場で使い方を説明していった
  • こどちゃは反発精神でやってた
  • ラブシーンのコンテは自分でかいてた

など。


 「おじゃる丸」。
 いきなり小ネタから。齋藤さんからもらった歌う人形の歌は、ビンちゃんの鼻歌の元ネタ。斉藤さんが実演するけれど、よくわからず。

  • コンセプト原案はすべて犬丸りん氏がつくったもの。ウクレレさん以外は。
  • まったりというキーワードでいきたい、という話は、NHKのプロデューサーからあったもの
  • 放映前に、お茶のCMか何かで、まったり、という言葉が先に使われてしまって、くやしがっていた
  • 「こどちゃ」のマシンガントークのイメージからの脱皮が狙いの一つ

 この脱皮が必要という思いは、「こどちゃ」あたりから、アニメ専門誌やファンの間で一躍名前が知れ渡りちやほやされるようになった自分に対する違和感があったから、ということを語ってくれた。また、「こどちゃ」で放映途中に家族から「飽きた」と言われてから、「くろみちゃん」「まかせてイルカ」以外の仕事の話は、自分から話題にしたことはないとのこと。つらいね……。

 北島さぶちゃんのオープニング主題歌は、さぶちゃんが年に一度やる遊びの仕事に、たまたまあたったから、という話も。絵コンテを担当してもらった鈴木伸一氏は、実は過去に民放のお笑い番組かドラマかでさぶちゃんと組んでいたことがあり、「おじゃる丸」のオープニングはそこから何十年ぶりかのタッグなんですよ! ということを「おじゃる丸」のプレス説明会で意気込んで披露したら、記者連中はポカーンとしてたとか。


 「セクシーコマンド外伝 すごいよ!! マサルさん」について。
 原作に忠実に沿ったのは、

  • アニメ屋が考えたこしゃくなギャグでは、うすた京介の才能に太刀打ちできない
  • だから、コマをそのまま写させた。吹き出しをとって空白ができてもそのままで
  • 尺が足りないときに入れたのがウクレレコーナー

 だがそこに思わぬ障害が。打ち合わせで初めてうすた氏に会った大地監督の前で、「さぁ、はじめましょうか」といきなりコンテチェックを始めたといううすた氏(笑)。関東在住でないうすた氏の自宅へ、毎回郵送でコンテを送ってすべての話数でチェックが入ったとのこと。
 でも、制作が押してくれば当然そんな時間はあるはずもなく、一度、あるコマに大きく×が入れられてコンテが戻ってきたときは、これはそーいう×を入れろという指示なんだ!ということになって、コンテはそのままに画面いっぱいに×を入れて放映されたみたい。つまり、嫌味(笑)。
 時間がないのは放映前もそうだったようで、オープニングもわりと突貫でつくったとのこと。「あれは和田(高明氏)の功績」(大地)。あと、大仏は「YAIBA」のパクリとか。
 ほかに面白かったのは、熱狂的なファンでタイトル題字を担当した西村友美さんは、アニメ企画が立ち上がる前に「マサルさん」を担当することになるTBSプロデューサーから面白いのない?と聞かれて、そのときあげたマンガが「マサルさん」だったことが、アニメ化に繋がったとか。



 で、齋藤さんが退場し、麻生かほ里氏を迎える第3部以降は明日にでも。