「としうえの魔女たち①」(むつきつとむ)マンサンコミックス

 『中学卒業後すぐに自分(=現在高校生)を生んだ母親と親友だった同級生の女性が自分と母親が住むアパートに引っ越してきてラブコメ。』

 半分は懐かしさ、半分はやっぱり良いラブコメ。リイド出版から出ていた「零式」連載作品。ナンパ師としてある程度の場数を踏みながらも、ママンや元カノの年上幼馴染に頭のあがらない主人公が、メインヒロインのママンと同い年のロリ顔ロリ体型の小鳥に惚れていく過程で、背伸びしてる感じとストレートな好きという感情がないまぜになってるところが、こそばゆくもあり恥ずかしくもあり、そして懐かしい。
 1巻の最後では紆余曲折ありつつ一応は主人公の気持ちを小鳥が受け入れるところで終わる。この後どうなったっけ……、とまったく過去の連載時の記憶がなかったりするのは、2巻を楽しみにしてろってことだ、自分。
 マンサンのこの復刊シリーズは、去年「さらくーる」(みた森たつや)が復刊したときも、ストーリーのオチを完全に忘れていて、2巻最後で明かされる過去と未来のぴたっとはまるリンクの具合に、こちらもラブコメの秀作だよなぁ、と嘆息したのを思い出す。マンサンいい復刊してるよマンサン。

 
 ところで、「零式」とえいば、目黒三吉のマンガと更科修一郎のコラムが目当てだった。目黒は98年の夏に出た零式に掲載された、コインランドリーの乾燥機から少女を拾ってくる話で、ここまでエロと不条理を両立できるもんかと驚いたことを鮮明に思い出す。
 ほかには南条飛鳥や、ケンタウロスの美少女が出てくる異世界ファンタジーを書いてた安森然あたりが、この雑誌から知られていった作家だろう。ああ、そうそう“妹作家”の走りである舞登志郎も忘れちゃいかん。

 2000年頃から雑誌の勢いが落ちていって、休刊はまあ仕方ないかなと思ったが、掲載作品のうちももえサイズしか掬い上げられなかったのは至極残念なことだった。ほんとに。


としうえの魔女たち 1―Brand new love story (マンサンコミックス)

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さらくーる 第1巻 (マンサンコミックス)

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