現在進行形中の反日デモとほぼ無関係な

 マンガを利用した中国のあるやり口について、2002年10月横浜開催の「アジアMANGAサミット」第5回大会から。

  • DOXA(独立左派日誌)「中国と向き合うために。」

 http://d.hatena.ne.jp/johanne/20050419#p1

分科会では日、韓、中の同時通訳が用意され、各作家の発表の後、シンポジウムという流れ。李賢世さんの表現弾圧事件の顛末は迫真に迫るものだった。続いて我々があたふたと発表をし、台湾、香港、中国の作家の発表の番になって、奇妙なことが起きた。台湾、香港の発表を中国側が連れてきた通訳が、あからさまにちゃんと翻訳していないのだ。李先生も気づいたようで、明らかに不快感を示している。特に、表現規制の状況を説明しているあたりは、レジュメが回っているので通訳の説明が端折っているのは誰が聞いても明白だった。(何?何が起きているの?)僕らの疑問は徐々に解けていく。
中国代表の発表は、あらかじめ渡されたレジュメと激しく異なり、延々と中国漫画界の未来像だのを一方的にまくしたてる「官僚原稿」そのものだった。本当にどうでもいいことをだらだらとしゃべり続け、表現の自由に関することなど皆無。各人の持ち時間を無視して続く演説に、あっ…と、気づいた。彼らは意図的に台湾、香港の作家さんの翻訳を制限し、無意味な発表で討論の時間を削ろうとしている。結局、午前中の討論はほとんどつぶれてしまった。

あとで知ったのだが、この「中国代表」は河南省のグループで、最終日にいきなり「次回のアジアMANGAサミット中国大会は河南省開封に決定しました!」とぶちあげ、実行委員会を驚愕させた。しかも、河南省観光協会のパンフレットを配布し、そこにはへたくそなスーパーマンのパクリイラストが掲載されているというお粗末さ。結局、地方官僚の暴走と言うことで、中国大会は昨年、北京で開かれた。

 表現規制が4国のなかでもっとも厳しいだろう国からきておいて、目的がビジネスのみ(読む限り、台湾、香港叩きはあくまでビジネスをうまく運ぶための“ついで”だったように思える)というお粗末さは、呆れ果てるほかない。


 また、その後、北京で行われる予定となっていた(2003年はSARS発生で延期)第6回大会の一部顛末についても、同様のことがあったようだ。

  • 國民新聞(平成15年4月)アジア漫画家サミット 中国が「台湾」名使用認めず 日本の漫画家も反撥

 http://www5f.biglobe.ne.jp/~kokumin-shinbun/H15/1504/1504095manga.html

 http://www.geocities.jp/taiwan_assoc/bs03317.html

台湾最大手紙「自由時報」は3月7日、気概ある日本人のニュースを1面トップで報じている。
それによると第6回「アジアMANGAサミット」が今年10月、中国の鄭州で開かれるが、中国は開催国になったことで調子に乗り、欧米諸国もが参加する「世界漫画大会」という、厳かで盛大な漫画競技会に勝手に切り変え、国威宣揚の場として利用しようとてしている。しかもそればかりではなく、前回まで「台湾」だった台湾代表団の国名を、例によって中華人民共和国の一部との位置付けの(誤解させるための)「中国台北」や「中国台湾」といったものに変更するよう要求しているという。

ところが今回ばここで、台湾に有力な助っ人が現われた。
つまり日本の漫画家たちが台湾応援に立ち上がったのである。報道によると、千葉てつや氏の子供(やはり漫画家なのだろうか?)が台湾サイドに、「もし台湾の漫画家50名がボイコットするなら、日本のスター漫画家30名も同一歩調を採る」と約束したというのだ。

これは実に見上げたものである。彼等にしても実際は、年に一度の世界的晴れ舞台でみずからの「芸術」の成果を見せたいだろう。しかしだからと言って、正義までも踏み躙ってそれを行えば、単なる我利我利亡者と何ら変わらなくなる。日本の政財界が国際正義どころか国益までも顧みず、ひたすら中国に媚び諂う姿が際立つ昨今、彼等は日本人のあるべき姿を示しているようで感動的である。

 後半、ちょいと偏ってるのは中国とどっこいだったりな印象はあるが。横浜での中国のやり口を、ちばてつや以下のマンガ家たちはしっかり身に染みてもいたのだろう。