無能キャリアと優秀ノンキャリという銀英伝なみにできた構図

 今日売りの週刊新潮で、99年8月に発生したキルギス日本人技師人質事件で反体制組織に支払われたとされる身代金300万ドル(政府は公式に否定)は、実は、当事の体制側があらかたをもっていかれたらしいことと、日本から派遣された数十人のスタッフの現地活動経費にも利用されたらしいことが、スクープされている。

 外務省の完全否定と身代金が支払われアというストレート報道だけで、その論評がほとんどなかった事件の一種異様さに、ずっと気にかけたいた事件だったが、なぜか今頃、どういうタイミングを狙ってか、その暴露を新潮が載せた。

 当事、外務省トップにいたムネオ(当事の官房副長官)も野中広務(当事の官房長官)も、今現在は、叩いて読者を呼べるほどの位置にはいない。ムネオが2002年初めにマキコともども叩かれたときも、ネタにはなってなかった。
 本省でお粗末ながら事件解決の取り組みにあたっていた当事のキャリア連中も実名で出てはいるが、彼らが今、他の重大事件の渦中にいるとかいうとそうでもなさそうだ(今後、明るみにでる事件があるのかもしれないが)。


 ただ、キルギスの隣国のウズベクで当時日本大使館参事官だった高橋博史氏の独自の交渉ルートと身代金をうんぬんしない解決への取り組みが、交渉失敗の場合の小渕政権へのダメージとキャリアの嫉妬によって、潰されていった経緯は、まさに、官僚主義の弊害そのものに有能な現場の人間が邪魔をされてるという、ほんとうにいまどきあるのかというくらいステロタイプなストーリーで、かえって驚く。

 ノンキャリながらその後、国連アフガニスタン問題特別代表を務めるブラヒミ元アルジェリア外相の特別補佐官にスカウトされたほどという高橋博史氏は、ほんとうに優秀なのだろう。言えば、この記事を掲載した新潮がバッシングしてた、外務省職員ながらムネオの第1秘書のように働いてた「ラスプーチン佐藤」氏ほどに。

 ああ、でも、やはり、いま、なぜ、この記事をとりあげたのかよくわからない。とりあげる必要はあるにしてもそのタイミング、ましてや6年も前の事件であって。ずっと気にしてた事件だけに。