匿名情報源を見直し、編集長許可制に ニューズウィーク(朝日)

 http://www.asahi.com/international/update/0523/008.html?t

「読者への手紙」のなかで同誌は、情報収集の過程全体を見直すことを表明。匿名の情報源を使う場合は(1)いかに情報を知りうる立場にあるか(2)なぜ名前を明らかにできないのか(3)情報を提供する動機などを「できるだけ読者に説明する」とした。
記事のテーマが「慎重な取り扱いを要する問題」の場合、匿名情報が不可欠ならば、その取材元とは別の独立した情報源に確認を求めることを徹底する。取材先が高い地位の人物であっても、記者の確認にコメントしないことを「無言の了解」とは認めない。問題の記事に用いた「複数の筋によると」という表現も使わない、などと約束した。
「正確さをすべての価値の上に置く」としており、事実を確認するまで記事の発信を可能な限りとどめる。競争に不利になっても、「仕方がない」とした。匿名使用は「これまで重要な記事を打ち出すきっかけになった」としながら、乱用は読者の不信と記者の不注意につながる、と位置づけた。
同誌に寄せられた2700の電子メールの大半は批判的なものだった。問題になった記事では、コーランをトイレに流した事実が米軍報告書に含まれているという情報の確認を、2人の国防総省当局者にも求めた。1人にはコメントを拒否され、1人はコーランの部分について何も指摘しなかったため、同誌は確認されたと受け取った。

 ほか国内3紙。
 「コーラン冒涜」記事撤回、米誌が編集新指針(読売)
 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20050523id28.htm
 米ニューズウィーク:匿名情報源からの報道制限へ(毎日)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/america/news/20050523k0000e030025000c.html
 匿名情報は許可必要に=誤報で米ニューズウィーク(ロイター)
 http://www.reuters.co.jp/newsArticle.jhtml?type=worldNews&storyID=8568373§ion=news


 どこまで取材の現場で実行できる“心得”とできるのか、編集段階でその記者にどこまで事実の確認を迫ることができるのか、そのあたりはひとまずおくが、とりあえず打ち出された見直し策のアイデアについて、一カ所。「無言の了解」(読売では「暗黙の了解」と訳・表記)。

 あー、よくやるよくやる、……って記者やライターがもしいるなら、はっきりいってあまり質は高くない。というか低い。「無言の了解」を裏返して、質問に対するイエスの記事に仕立て上げる。リスキーな書き方だろう。はっきりと言質をとるのが基本。何も言わない、あるいは逃げ回るなら「〜については回答を避けた」といったように書く方法はある。

 親しい間柄ならそこは、阿吽の呼吸というやつで、言いたいことはわかるよな?となるかもしれないが、その記事で親しい間柄の相手との縁が切れる可能性も含む。そこは天秤だ。

 誘導質問に慣れた相手だと、そういった手段で迫っていくことも一つの手段になるかもしれない。手ごわいから。でも、「無言の了解」をいくら複数人からとっても、地位の高い人間からとっても、それはイエスには裏返らない。