脳死で臓器提供、ネットや携帯で登録可能に (読売)

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050823-00000013-yom-soci

厚生労働省は、脳死判定・臓器提供への意思表示がインターネットや携帯電話から登録できるシステムを来夏から始めることを決めた。
登録すると、入力した内容が記載された意思表示カードが自宅に届く仕組みで、脳死移植の拡大につながると期待される。
登録希望者は、臓器移植をあっせんする日本臓器移植ネットワークのホームページから登録画面を開き、<1>脳死または心停止後に臓器を提供するかどうか<2>提供したい臓器の種類――などを記入する。
新制度は、意思表示カードが手に入りにくいとの批判があることに対応したもので、カードの単純な記入ミスから臓器提供の機会が失われることを防ぐうえでも効果があると見られる。
ただ、現行の臓器移植法は、脳死での臓器提供は本人が事前に、カードなどの書面で提供意思を示していることが必要で、登録していてもカードが見つからない場合は、提供には結びつかない。
同省臓器移植対策室は「カードが見つからない場合でも本人の意思がわかるため、家族の承諾だけで済む心停止後の腎臓、角膜の提供につながると期待される」と話している。

 「同省臓器移植対策室は「カードが見つからない場合でも本人の意思がわかるため、家族の承諾だけで済む心停止後の腎臓、角膜の提供につながると期待される」と話している。」の意味が分からん。
 ん? 家族の承諾だけで済むなら、カードは関係ないんじゃないの? 
 (社)日本臓器移植ネットワーク内の「意思と提供までの流れ」を参考にするなら、正確な文章は、「家族の承諾だけで済む心停止後の腎臓、角膜『以外の臓器』の提供につながると期待される」じゃないの?


 ……ちっ、署名記事じゃないのか……(笑)。*1



 というか、本題はそんなとこじゃなくて、だ。
 危うい。危うい。
 意思表示カードをネット上から無料で自宅までお届け、ではなく、意思表示登録そのものがオンラインで簡単に出来て、かつデータベース化も同時に、ということだ。つまり。
 意思表示をしている人が、全国に何人いるかという統計は、おそらくないはずだ。誰が意思表示しているかという個人名簿のデータもまとまってないはずだ(あるならば、どなたか是非教えてくれるとありがたい)。

 それを始めるための、一歩ということだ。

 あくまで登録は自主的なもの? 安易に意思表示してしまった場合、カードなら燃やすなりトイレに流すなりして完全にナシにすることができるけれど、電子登録の抹消は簡単に可能なのか? せめてメルマガ並の登録解除の簡便さが必要ではないか(別問題として、そこまで手軽にできていい類のものかというのはあるが)。本当に抹消されたかの確認方法は? しかも携帯からもできるって? 休み休み言え。
 脳死=人の死という定義、脳死の判断システムにまだ議論や見直しの余地がおおいに残っているのに、既成事実を積み上げるシステムは、着々とつくりだされつつある。



※参考:ちなみに、http://www.jotnw.or.jp/community/card.htmlのデータを見ると、7月末日のカードの累計配布枚数は99,141,840枚。9月中にも1億枚を突破しそうだ。同じく7月末日で25,327,350枚を累計配布しているシールとあわせると、現在の日本国民すべてにほぼ行き渡る枚数を、出していることになる。

*1:こういう間違いをするような記者なりデスクなりがまとめた記事だから、なんの批判の視点も感じられないリリース丸写し的なマンセー文章になっちゃってるんじゃないのか。どうよそのへん。