七人のマッハ!!!!!!!(監督:パンナー・リットグライ)


 すごい偏ってるのだろうが、鑑賞中は割と本気でそう思ってたので、いちおう[ネタ]という保険をかけておく。





 新宿シネマミラノで14:50の回。タイ版「インディペンデンスデイ」であり「YAMATO」であった。つまり、国威高揚マンガ映画。


 サッカーやテコンドーや新体操やラグビーのエリートが麻薬ゲリラを得意の技でやっつけます。でも、アストロ球団ほど荒唐無稽に観れない。


 象徴は、戦いの途中からずっとタイの国旗を掲げ続けるラガーマン。最後の村爆破は、あたかもベトナムの米軍空爆


 壊れかけのレディオから雑音交じりに流れるタイ国家にサメザメの村人+スポーツエリートたちを、テコンドー妹を引率してきたタイ刑事が扇動。エリートの歌声をきっかけに、村人たちに波紋を広げる国歌斉唱の波。拳をつきあげ、自動小銃を所持したゲリラ集団に村人+エリート特攻。当然打たれて、さらに死人続出。混乱戦のなか、エリート+刑事の超人技映像スタート。


 まったく分からない。そこまで何十人も仲間の村人を殺された怒りは分かるが、そういった怒りだけで、素手で銃に特攻できるものか? 国歌が、僻地の零細な村にとって、そこまで身をささげるものになるのか? 村人たちが周囲を囲んで涙をささげていた、横たわるタイ仏教僧侶の遺体を理由にするならともかく。
 麻薬ゲリラ側の背景はまったく描かれず、エリートたちから援助物資を受けとるほのぼのシーンに突然問答無用で銃を乱射しながら突撃してくるやつらは、まさに血も涙もない扱い。


 刑事の扇動は村人の命をムダにさせたとしか思えない。職務を優先して生き残った村人の命をあたら散らせた。脚本の破綻ではなく。もともとそれが狙いか?


 刑事が復活するときに、強く握り締めたタイ(のものらしき)硬貨。誰からの大切な贈り物というわけでもないらしかったその硬貨は、どうやら硬貨に描かれた誰かの肖像が刑事を奮い立たせたらしかった。つまり、国家的な偉人というわけだ!


 戦ったのは、死んだのは、村人と麻薬ゲリラたちだけ。タイ政府はなんの犠牲も出していない。「マッハ!!!!!!!」の脚本の破綻振りもたいがいではあったが、あちらよりもカメラワークや演出が割りと凝ってたりする分、分かってやってるように思えてくる。


 ラストネタは、いまどき戦術核ミサイル。現実に置いてクリティカルな問題であるということは承知の上だが、フィクションの小道具としては、かなりいまどき。


 うさばらしに新宿スポーツランドで鉄拳5の新キャラLILIの足技を練習して新宿を後にした。



参考:公式サイト