公開しながらmemoったほうが、きちんとまとめる気になるし。

  • 田切博の「戦争はいかに「マンガ」を変えるか アメリカンコミックスの変貌」(NTT出版)が二千数百円払った価値アリ。アメコミ二等兵な自分には初出のことばかり。たいていのことが面白い。
  • 少ない知識の中で、なんとなくずっと疑問に思っていた、バットマンは例えばゴッサムシティの外からやってくる力や外で起こってる正義や悪には力を持ち得ないのだろうか?関心がないのだろうか?という疑問は、あまりに他愛無かった。
  • 今のところ最大のショックは、「9.11」に対して作家と出版社が立ち上がったチャリティーコミック(「9.11」ショックに対する作家の自己治療の側面をもつ)が、模範的な愛国心の発露として世間に評価され、その後のアメコミ業界が好景気に沸く状況を後押しした、という指摘。それ以前から進められていた流通改革が好景気の最大要因だったとしてもブースターの役割は明らかに果たしたと。
  • 崩壊したWTCの前に立ちすくむスパイダー・マン。
  • 「MOON LIGHT MILE」(太田垣康男)でそれまでの流れからすると唐突な挿入の感があるH2ロケット月上陸作戦は「保守」を高揚させるナショナリズムの側面があるという指摘。では「宇宙戦艦ヤマト」はどうだったか? ヤングガンガンで太田垣が原作をしている「フロントミッション ドッグライフ&ドッグスタイル」は最新号で、高層タワーにミサイルが激突。WTCそのもの。自覚的でないか? 自覚的であればいいのか? 無造作な挿入は「9.11」に「描かされた」からか? 「コードギアス」は「描かされた」ものか?
  • 「9.11」で、空想の否定・表現の力に対する幻滅に陥った作家たち批評家たち。ナショナリズムに添うことによる救い。
  • 1979年という年に、手塚がかつての翼賛マンガ家を「戦争責任」論から守る必要があったか?
  • 212P-213P。フィクションという安全圏からの表現に、現実への主張をおりまぜる。理不尽な現実、巻き込もうとする現実。否応ない強制リンク圧力から遠ざかりたいための予防措置。「9.11」が否応なく引きずり込む。日本で「9.11」が起こったら? エロ規制運動は反発と網をすり抜けるための知恵を講じる力の源となったが。
  • 259P。作品のファンだというオウム信者からの手紙に、自分の空想が現実とシンクロした快感を見た笠井潔。ジレンマは?という批判。
  • 「シビリアン・ジャスティス」(グレイグ・ウェイ)=「嫌韓流」(山野車輪)。売れない無名アーティストが愛国心をテーマに一気に有名に、という共通項。
  • ジョン・ネイ・リーバーの「キャプテン・アメリカ」脚本における、愛国心への目覚めっぷり傾倒っぷり。
  • フランク・ミラーという不出生の天才の偉業と「9.11」後の行き詰まり、原典回帰。
  • 「ワイルド・カード」の元ネタは「Xメン」だったことを、今頃、知る。
  • 「A.D.ポリス25時」(トニーたけざき)は、「アストロシティ」の流れを先取りしていたか?
  • 新聞風刺マンガ。「9.11」以後、アメリカにおける第3世界への視線と、欧州における宗教差別的な表現。アメリカにおけるオルタナアングラ政治マンガ(=ポリティカルカートゥニスト)という存在の果たした刺激。代表として「ブーン・ドックス」(アーロン・マッグルーダー)。マッグルーダーが「ネーション」創刊記念パーティーで参加者をなじった理由。
  • 「消えたタワーの影のなかで」(アート・スピーゲルマン)に対する執拗な。アメリカ人になりきっていないユダヤ人スタンスに由来?
  • 今、アメコミ作家が立ち返りつつあるという「マンガをマンガとして」描くこと。政治に左右されない。創作意欲を理由にしない。
  • 執れ、膺懲の銃とペン―戦時下マンガ史ノート
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