「広色域」は宝の持ち腐れ。
更新をさぼってたこの1ヶ月の間に起こった出来事と言えば、5年前に買った液晶モニターがお亡くなりになったことが一つある。
2月あたりから、1週間に1度程度、突然のブラックアウトを起こすようになり、電源ブラグのぶっこ抜き→ぶっ刺し→気付け式復旧の繰り返しもむなしく、ある朝、LEDランプがつかなくなった。
合掌しつつ、代替モニターを探しにアキバへ。ブラックアウトが起きるようになってから、一通りの代替モニター候補のあたりはつけていた。
そのうちの一台だった
三菱電機 Diamondcrysta WIDE RDT231WM-S(BK)

MITSUBISHI 23型三菱液晶ディスプレイ(グレア) RDT231WM-S(BK)
- 出版社/メーカー: 三菱電機
- 発売日: 2009/05/22
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を、中央通りのTSUKUMO地下IFで、税込2万8,980円+TSUKUMOポイント2,029で手に入れた。
……まさか、そこからわずか2週間程度で、同じTSUKUMOの買取センターに、買取上限1万5,000円+21型以上の液晶モニターが4月中は買取額2,000円アップ=計1万7,000円で売却することになるとは思いもしなかった。*1
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敗因は、
- 実はグレア(光沢)は苦手だった
- 実は視野角の狭さが苦手だった
の2点。
1点目は、5年前に買ったモニターはグレアに「低反射ガラスコーティング」という処置をしており、グレアの光沢を残しながら映りこみを抑えた代物で、これを長らく愛用していたせいで、「自分はグレア派」だというわけの分からない思い込みをしていたため。
三菱の技術力を結集したRDT231WM-S(BK)のツルツル感はたいしたもので、難なく髭が剃れるくらいの映りこみに始めは喜んでいたものの、作業中を始めると、自分が着てる白のジップブルゾンとかがちらちらと画面を横切ったりするのが耐えられない。モニターを囲むバーもピアノブラックなツルツルで、そこにも映りこみが起き、特に上部のバーは自分の眼がモロ対面にあたるため、「こっちみんな!」状態。もうこの点は言い訳しようもなくらい完全に馬鹿。自分が。
2点目の視野角の狭さは、自分の馬鹿が原因というより、5年前に買ったモニターがTNとは思えないほど視野角が広かったせい。……というか、こっそりVAを使ってたんじゃないかと思うくらい、使ってた時はまったく視野角が気にならなかった。本当にVAだったのかもしれないが、とにかく、RDT231WM-S(BK)はモニター正面から上下左右に約10度を越えて頭を動かすと途端に色味が反転したり白っぽく色が飛んでいく現象を頻繁に起こすので「ああ、これはもう耐えられない」と白旗をあげた。作業中に、しょっちゅう動いたり、別の角度から離れてみたり、ぼーっと斜め上から立ち尽くして見続けたり、そういう行為を繰り返す無駄な時間を費やすタイプなので、そこで現実に引き戻されるような視野角の狭さによる変調は許せない。ということで、VAかIPSのモニターを新たに探すことを決定。
候補1つ目は、
三菱電機 Diamondcrysta WIDE RDT231WM-X(BK)

MITSUBISHI 23型液晶ディスプレイ(ノングレア) RDT231WM-X(BK)
- 出版社/メーカー: 三菱電機
- 発売日: 2009/11/20
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という、RDT231WM-S(BK)の上位機種。高価格で応答速度の遅さがネックだったIPSを、実売4万2,000円前後まで抑えた点がポイント。
候補2つ目は、
ナナオ FlexScan EV2334W-TBK

NANAO FlexScan 23インチワイドTFTモニタ ブラック EV2334W-TBK
- 出版社/メーカー: ナナオ
- 発売日: 2009/12/12
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という、液晶モニターの長(おさ)が送り出す、お手頃VAモニター。3万円台と、RDT231WM-X(BK) よりも若干、手を出しやすい。ただしHDMIは無い点がなんとなく気に入らず、またVAはSPIと比べれば視野角が狭い(ことが多いらしい)ということで、却下に。
候補3つ目は、
日本ヒューレット・パッカード LP2475w

HP LP2475wプロフェッショナル液晶モニタ HP BTO(クライアント) 4948382549877 KD911A4#ABJ
- 出版社/メーカー: ヒューレット・パッカード
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という、IPS液晶モニター。HDMIをフォローしているが、6万円近くするため、保留。
候補1つ目のRDT231WM-X(BK) がSPIであること、4万円ちょっとで買えること、三菱だから変なものを作ってはいないだろうという信用性、売り払ったRDT231WM-S(BK) と同じ形の台座がなかなかカッコヨロシイということ、などの理由で自分ランキングを急上昇していた。
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そこに表れたダークホースが、
DELL UltraSharp U2410

DELL UltraSharp U2410 IPSパネル採用の24型ワイド液晶
- 出版社/メーカー: Dell
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で、結局、このu2410を知ってから3日後には、直販サイトでポチッとをしていた。3万7,800円+送料1,500円=税込3万9,375円。ポチッとから週末を挟んで5日後に届くという素早さ。
決め手は、
- RDT231WM-S(BK) よりも2,000〜3,000円安い
- RDT231WM-S(BK) よりも良さ気なIPSパネルを使っているらしい
- RDT231WM-S(BK) よりも入出力機構が豊富(USBやカードリーダー、コンポジットまで対応)
- RDT231WM-S(BK) の1920×1080よりも大きい1920×1200で、モニターの上下が広くなる
- RDT231WM-S(BK) に標準装備のスピーカーはいらない
- RDT231WM-S(BK) の売りである動画補正機能は、よく考えたら別にいらなかった(RDT231WM-S(BK) にも同じ機能がついていたので機能の程度は体験済み)
- メーカー保証期間がRDT231WM-S(BK) と同じ3年
- 昨年の発売直後は7万円以上していたのでお得感が大きい
あたり。
特に、RDT231WM-S(BK) の売りであるギガクリア・エンジンとかいう動画補正機能は、自分の優先順位を改めて考え直してみると、いらないもの。
優先順位は、
テキスト>>>>>写真・イラスト>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>動画(TVゲームはしない)
なので、応答速度だって別に20msだろうか25msだろうが、大きなネックにならないのだった。
一通り触ってみたU2410は、まず、グレア好みに傾いていた理由の一つだったノングレア処理のモニターにありがちな画面の“ざらつき”や微妙な凹凸感を、ほとんど抱かない。5年前に買ったモニターの低反射ガラスコーティング処理と同じくらいの心持ち。現物を見ずに買ったため、この点は心配していた点の一つだったけれど、杞憂に終わって質感にも満足した。
一方で、WEB上で漁れたu2410ユーザーの間で一様に評判が悪い「静電タッチセンサーキー」の操作性は、評判どおりの代物。タッチした時の反応が遅かったり、反応自体しないということが最初は、2、3回に一度は生じた。コツをつかめてくると、ポンポンと反応するようになるが、それでもボタン式のように反応するかしないかを気にせずガンガンやれるようにはならないので、余計な気を使わせる点でマイナス材料。また、触っていないのに、部屋の音や静電気を拾ってなのか、ブルーのセンサーが不定期についたり消えたりを繰り返すので、なんだか気に触る。自分は、キーの前にスティック糊を立てて眼に入らないようにしている。
一応ためしてみた動画再生は、実写の「V フォー・ヴェンデッタ」は特に問題なかったが、アニメの「R.O.D」は動きのあるシーンでジャギーっぽいのが出た。ギザギザの溝がついたポテトチップのように。
でも、HDDの中の「亡念のザムド」のHD246版OPはふつーに観れたし、深夜放映されてたのをRD-X5からDVDに落とした「はじめの一歩 チャンピオンロード」冒頭のデンプシーロールで千堂をボコにするシーンも観れたし、じゃあセルDVDだから何か問題があったのかと試した「アニメーション制作進行くろみちゃん2」も問題なく観れたので、「R.O.D」はブルーレイ版を(安くなったら中古で)買おうということで解決。
♯
……じゃあ、RDT231WM-S(BK) を売り払って約1万円の勉強代がかかったものの、今は快適なu2410ライフを送っているのかというと、全くそうではない。
現在格闘中の最大の難関が、色調整。u2410の売りである10億7,000万色をカバーする「広色域」の性能を使いこなすのがムチャクチャ難しい。
モニターOSDの「カラー設定」→「プリセットモード」から、「標準」や「AdobeRGB」を選択すると、前のモニターに比べて明らかに蛍光色っぽくなる。全体に黄色味、緑味がかっている。蛍光色っぽさは「赤」や「ピンク」でことさらどうしよもなく、チカチカ感が倍増し。
色々とWEB上を漁ってみると、どうやらこのu2410に限らず、Windows+IEブラウザで「広色域」モニターを使おうとした場合、赤系等やその他の色がド派手になるのは共通の現象のようで、それに関する話がわんさか出てくる。
広色域ディスプレイのメリット、デメリット - あんだあどらいぶ
http://d.hatena.ne.jp/kei_kei/20080312/1205332079
現在のテレビ放送やDVDなどの映像は、従来の狭い色再現範囲のテレビで見られる前提で作られている(つまりBT.709の色域に最適化してある)。なので、そもそも「今まで表現できなかった鮮やかな色」が含まれていない。そういう映像をそのまま広色域のディスプレイに表示すると、本来よりも鮮やすぎ、濃すぎの色で表示される。これは忠実な色を表示できているとはいえない。広色域ディスプレイに従来の映像を入力するときには、色が破綻しないように、ディスプレイの色再現範囲を圧縮するような色変換をしないといけない。
色の忠実さを重視するなら、映像とディスプレイ両方が広色域に対応してはじめてメリットになる。見る映像がテレビ放送だったりDVDだったりの従来の色域にあわせて作られたものの場合、そもそも「今まで表現できなかった鮮やかな色」が含まれていないので、広色域ディスプレイには何のメリットもない、ということ(あくまで「色の忠実さ」を重視するならの話)。
液晶選びの新基準:“広色域”は誤解だらけ!? 今選ぶべき液晶ディスプレイを考える (2/3) - ITmedia +D PC USER
http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0805/23/news001_2.html
残念ながらインターネット上のコンテンツでは標準的な色域がsRGBにとどまっており、Windows環境ではWebブラウザ上でのカラーマネジメントが基本的に行われない(Firefox 3やSafariといったWebブラウザはMac版もWindows版もカラーマネジメントに対応している)。
Windows Vista, Windows7のカラーマネジメント(WCS)その2 - ABC, ABC, ハーン, E男…
http://d.hatena.ne.jp/mjq/20100127/1264518683
Windows Vista, Windows7のカラーマネジメントは、WindowsXPと大差なく、クソ。ここらへんまともに理解してるのって、ナナオスレ住民くらいじゃなかろうか。
DELL U2410の設定(Windows)まとめ - ABC, ABC, ハーン, E男…
http://d.hatena.ne.jp/mjq/20100212/1265911398
加えて、U2410はデフォルト添付のICCファイルが異常であると言う話がある。
(フォーラムでdellの中の人が、2408wfpのプロファイルを代わりに使っとけと)
らしいよ。以前、Susie+カラーマネジメントプラグインで表示色が異常になる件があったが、こっちの原因だったようだ。ひどい。
モニターのカラーマネージメントの設定をしよう
http://www24.big.or.jp/~antares/photo_gallery/collar_manag/collar_management.html
ネットの写真とかが派手になる理由
なぜ、こんな現象が起きてしまうかというとモニターで表示出来る色の範囲の違いと、コンピューター上のデーターは相対的なものだからということになります
たとえば、同じR0 G255 B0 というデーターでもそのモニターにとって出せる最大の緑色を出せという意味になります
他のサイトさんの説明を借りると、あなたの体重の10%のお米を用意しなさい
という指示ということ
つまり、体重60kgの人にとってこの指示は6kgであり体重40kgの人にとっては4kgと同じ指示でも、持ち込まれるお米の量が違うのと同様に、モニターによって発色が変わってしまいます
AdobeRGBとsRGBの表示出来る色の範囲の違い
これだけ違うのですから、派手になっても当然というわけですね
ではどうすればいいのかと言うことですがそれは、コンピューターにつながってるモニターはAdobeRGB対応ですよと教えてあげればいいわけです
そうすることで、コンピューターは、つながってるモニターはAdobeRGBで表示しようとしてる画像はsRGB(画像に情報を付けている、ついてない場合はsRGBと見なすらしい)
だから、ちゃんと表示出来るように変換してモニターに送ろうという動作をすることで、sRGBの画像もちゃんと表示出来るようになります
Winはそれが出来ないアプリが多いので・・アプリの選定が必要になるようです
対してMacはその作業はOSがおこなうため、どのアプリでも問題が起きないらしい
U2410 - wiki@nothing
http://wiki.nothing.sh/page/U2410
・ファクトリーモードの入り方
1.下から2番目と4番目の静電タッチセンサーキーに触れながら電源ON
(コツ1:1番目のキーを触りながら電源ON)
2.ファクトリーモードに入れば、すべての静電タッチセンサーキーが点灯する、点灯しなければ、1をやり直す
(コツ2:やり直すときには、一度指をキーから離したほうが成功しやすい)
3.ファクトリーモード中の操作
下から5番目のキー:メニューの呼び出し
下から4番目のキー:項目を上へ(またはゲインをUP)
下から3番目のキー:項目を下へ(またはゲインをDOWN)
下から2番目のキー:決定(またはプリセットR,G,Bを移動)
寒色の9300K、暖色の5700K、標準などの6500K、sRGB、AdobeRGBで数値を設定できます
数値を設定する際には初期値に戻すコマンドが無いので初期値を必ずメモしましょう
結局、現状としては、
広色域を使いこなすことは当面、見送ることにして、モニターを「sRGB」設定、色管理のICCは「sRGB Color Space Profile」という、無難な着地点にいる。
そのうち、このブログの背景色とかが急に変わったら、ああ無駄な努力を講じようとしてるんだなと思ってください。
♯
メモ。現在のカラー設定。
- 【モニター】
- 輝度:0
- 初期設定50の最高100だが、もう0でまったく十分。前評判通り、明るすぎた。でも調整は可能。
- コントラスト:56
- シャープネス:60
- 輝度:0
- 【NVIDIAコントロールパネル→デスクトップカラー設定の調整】
- 明るさ:12%
- デジタルバイブランス:0%
- コントラスト:7%
- イメージの鮮鋭化:0%
- 写真やイラストには10%〜20%の間が適度にエッジが立って良いけれど、それだとテキストの文字がかすれるので0%にしている。
- ガンマ:50%
*1:買ったその日に、保証書に名前と住所を書いてしまっていたので減額対象になるかなと覚悟していたけど、「個人情報が掲載された書類などはお返しします」と返されただけで、減額対象にはならなかった。