十条「フレッシュタコス&バーガー イート・ラン」

 まぁ、人は多いところですよ。夕方などは特に。おばちゃんたちがマイカートでこっちの足の甲を轢きながら縦横無尽にショッピングですよ。けれど、全体的な印象を総括すれば、雑然とした野暮ったい商店街。それが十条銀座。
 そんなうらびれた商店街に、どこぞの名も知らぬ外資系ファーストフードチェーンが、場違いな雰囲気の店を出しているようなので興味本位で入店。


 「採りたて野菜バーガー」(200円)、「チキンサラダサンド」(200円)、アイスコーヒー(150円)。



 ……かなり美味い。10数年に渡ってハンバーガー派を否定し、サンドイッチ派を自任する自分をうならせる味。これはくやしい。
 パンズからはみだす青々としたレタス。あえて残した芯の部分がしゃっきり。厚切りの新鮮なトマト。パンズはぱさぱさしてない時点で及第点。ミートもその及第点をクリアしているが、しつこくなくジューシーなチキンのほうが気に入った。

 注文から1分強で商品が出てきたカウンターは、奥の厨房のから、あの体調のすぐれないときは吐き気さえ覚えさせる、化学調味料的な臭いが漂ってこない。
 店内は1階の注文カウンター、2階の飲食テーブルに分かれているが、1階の客席は数席が壁際にあるだけで、商店街に面した全面開放の入り口から注文カウンターまでの空間は広々とした床のみで障害物なし。この思い切ったレイアウトは、テイクアウト客の混雑緩和を狙っているのが一つあるとして、一方で、気軽に入れて、商店街側の喧騒やすぐ隣でぺちゃくちゃ食べながらしゃべっている先客を気にせずともよく、注文がしやすい。

 メニューは、バーガー5種類、タコス3種類、ピザ1種類と絞り込んでる。一番高いメニューで200円、ハンバーガーは100円。ドリンクサイズはMだろう一種類のみ。マックのコカコーラに対して、こちらはサントリー系のペプシマークカップ

 2階の店内はそっけないタイル張りだが、清潔感がある。下手をすると病院?という印象も与えかねないその寸前のところで、飲食店の内装にとどめている。
 トイレは客席に隣接しているが、内部天井にスピーカーを配置し音量で打ち消す。ウォシュレット完備、トイレットペーパーは並びで2箇所。フロアの片隅、透明ガラスの向こうに数席用意された喫煙席のほかは、70数席すべて禁煙。


 全体に、コストをかけるところはかけ、削るところは削る、その割り切りの見定めが、なかなかいいところをついてる。




 って、また長々書いた後に、外資系どころか、サイゼリヤの新業態であったことに気づくパターンかよ! そういや、サイゼリヤってまだ、一度も食べたことないんだ。美味いの?




 マックが苦戦している理由の一つは、利益を出すための商品と客寄せの商品がはっきり分かれてしまっているから、というのは誰でもすぐ思いあたるところだろう(安い商品しかみんな買わない)。
 安い値段で絞り込んだどの商品を選んでもらってもきちんと利益が出る体制を整えているイート・ランのような店*1が(かつ、値段以上の美味さを提供できるという大前提があって)、ファーストフード店のなかで、これから伸びていくのかな、などと考える。

*1:商品の利益率がマックなどよりも高いのかどうか根拠を示さずに書いてしまったが、新業態として一から構築したのだから、マックと同率以上の利益率は目指したはずではないのかしら。