早稲田で「マンガ論争」読書会。


昨日、勉強してきたことのMEMO。畳部屋で参加者20人。




  • 規制推進の動きが出てくる政治的背景
  • 各党動向
    • 自民=単純所持禁止の方向、創作物は見送りの可能性
    • 公明=単純所持禁止、創作物は付帯決議で実態調査要請
    • 民主=単純所持は不透明、創作物は見送りの方向か
    • 社民=福島瑞穂が単純所持・創作物とも反対の方針
    • 共産=単純所持に反対、ただし赤旗で過剰な性表現に対する論調はネガティブ
  • 「単純所持」の問題点
    • 冤罪や捜査権の乱用につながる可能性。特に長期の拘留や代用監獄制度が残る日本ではその懸念が大きい。
    • 海外とは年齢区分等で「児童」の定義が異なる。成人の定義から違う。
    • 何をもって所持とみなすのか。何をもって収集の意思とみなすのか。所持、収集の意思とも、実際の捜査に及ばなければ判断不可能。よって、逮捕される危険性はほとんど変わらない。すべての国民が警察の恣意的な判断で「容疑者」となり得てしまう。よって単純所持の問題は突き詰めていくと最終的に共謀罪までたどり着く。国の最終的な狙いもそこ。そのための地ならしの一環としての単純所持規制。
    • たとえば研究者が困る。昔の雑誌などは、児童の裸体に近いものが含まれる。「その部分だけ切り取ってしまえばいい」→「それでは焚書、歴史の改ざん」。
    • 児ポ法は所管官庁がない。よって被害児童をきちんと救うだけの予算がつかない。現状は、警察の予算から幾ばくかが割り当てられている状態(よって加害者の取締りが主目的になり被害救済はなおざり)。厚生労働省が所管する形にしてちゃんと予算をつけさせるべき。実際の被害児童の救済が先決ではないか。
    • 実際に運用可能な規制になるのか? 「仕事が増えるだけで迷惑」。役人や現場のほうが冷静に見ている。
  • 同人即売会等における署名活動は、連絡会で議論の最中。いつ、どうやってやるかは未定。
    • できれば直筆のほうが受け取る側に署名の価値を重視されやすいよう。ネット上で募るものも、電子署名法に基づけばOK(あるいは間を取って、書式をダウンロードさせ、印刷したものに直筆してもらい、FAXなどで送ってもらうといった方法があるか)。
  • 紙媒体などを除く電磁的記録(DVD、HDD、キャッシュ等)の単純所持禁止に絞り込まれていきそうか?




  • 宗教系
  • 教育系
    • 学校を舞台にしたエロに対する批判。「コミック表現の自由を守る会」発起人の山本直樹が描いた「BLUE」の都条例有害指定→事実上の廃刊。
  • 警察系
  • マスコミ系
    • ワイドショーによる刷り込み。1つの事件を何度も報道することで、実際に発覚している以上の件数の事件があるように錯覚。視聴者である主婦や高齢者にかかわる事件は取り上げない。相対的に若者や子どもに関連する事件を多く取り上げることになる。主婦や高齢者を票田とする議員が、ワイドショーの受け売りで規制を叫ぶ主婦や高齢者の声を鵜呑みにして、規制賛成派に回る構図が生まれる。
  • 保守議員系
    • 規制に対するスタンスは、支持母体との絡みの場合がほぼすべて。
  • メディア規制の歴史
    • 1990〜91年の有害コミック問題時との違い。当時、規制に反対していた小学館は今度は賛成派に回っている。講談社集英社は、賛成も反対も明確な動きが無い(たかをくくっている? 日本雑誌協会は関係者へ規制回避の働きかけを始めているらしい?)。海外へマンガ等のコンテンツを売るためにはエログロ文化は障害として捉えられ、浄化したほうが売りやすいという発想が出てきやすい?
      • 「クールジャパン」を狙うハリウッド(3)小学館・白井勝也専務に聞く海外戦略→「ただ欧米では、日本のマンガは性や暴力の表現が過激で、マンガを読む子供の親や教育関係者が警戒する動きもあります。 / 白井 そこは重要な課題ととらえています。日本は性や暴力の表現が比較的自由で、さらに宗教に関するタブーも少ない。刺激的なマンガが受け入れられる土壌があります。欧米でも、ある程度受け入れられるかもしれません。ですが、マンガをより広く海外に浸透させようとすれば、いずれ限界がきます。このままでは日本のマンガが、一部の人しか読まない“きわどい”メディアで終わってしまう恐れがあります。そうならないためにも、作家や編集者は、世界の人が読んでいることを意識してマンガを作る時期に入ってきたと感じています。マンガ誌の編集長に対して「少女マンガでは刺激的な表現は避けようよ」「グローバルスタンダードを目指そう」などと意見を少しずつ言い始めています。ただ編集長としてはやはり今売れる物を作りたいので、「刺激的な表現はやめろ」とはなかなかスタッフには指示できないのが実情なんですね。その辺のバランスを計りながら、長い目で見た、グローバルスタンダードにのっとったマンガを生み出すことが、日本のマンガが世界中で愛され続けることになるのではないでしょうか。」
      • ドラえもん」のコンビニ売り廉価版で、しずかちゃんのお風呂裸シーンは削除されている。その他の作品の廉価版も暴力・性表現箇所を緩和されたもものが少なくない。
  • 都道府県







  • ネット上の情報のみではモチベーションが維持できない。ガス抜きや他者・自己批判ではなく、運動を広げるためのネット活用。情報の正確さを裏付ける要素として「情報が共有され周知されているという実感」が欲しい。それは肉声から受け取るのが早い。電話やFAXやメールやチャットでも相手の話を聞くこと、対話することは不可能ではないけれど。
  • 各国が規制する児童ポルノが架空の創作物を含んでいるかどうかよく分からない。さらに法律の違憲判決が出て係争中だったりする。英語力が不可欠。
  • 韓国のマンガ規制による“暗黒時代”を参考に警鐘を鳴らせないか。
  • 規制の危うさを伝える上で根本的な問題。関心の薄い人にどうやって実感してもらうか?
  • 最近、エロマンガ家の集まり・飲み会があると、自然、その話になって、どうするよ、どうしたらいいよ、という話になる。
  • ずっと「撤退戦」。単純所持規制を押し切られれば、次は当然、創作物規制に入ってこられる。
  • ビラで、18歳以上なのに18歳未満に見えかねない事例として、「なあばすぶれいくだうん」の3頭身バージョン京子さん。確かに「軽井沢シンドローム」のSEXシーンなども児童同士に見えておかしくない。けれど中身は成人した男女の青春群像モノ。海外から見た場合、どうなる?
  • ネット書店の社員は、ほんの一部を除いて、規制関連の動きに興味がない?
  • ネットで本を買う人はネットで議論して外に出てこない。本屋で買わないので、切実な問題として認識しないのか? ネット上のコンテンツは無料で楽しめるものがほとんどなので、実感が沸きにくい?
  • 「マンガ論争」でインタビューした人に、ガチのマンガ嫌いはいなかった。でも、誰とでも話せば分かる、とは思わない(カスパルECPAT東京とか)。
  • 終了後、希望者のみ、神楽坂の「竹ちゃん」で復習会兼飲み会。生ビール中ジョッキ(290円)がサワー系やソフトドリンクより50円くらい安い。穴場。
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