「Swing Out Sisters」(東雲太郎) TENMACOMICS

 化けたなぁ、というほどではないんだけれども、5、6年前のコミック阿吽をメインに描いてた頃からすると、一つ突き抜けたなというのを感じ取る最新作。

 以前は、スレンダーというよりはいま少し硬さの残るボディラインだったため、構成力や話し運びは悪くない一方で、抜ける度はいまいちだったところ、この単行本の表題作で登場する姉妹は、身体に丸みや柔らかさが出てきている。特に、股の付け根から太もも内側にかけての線に、ソソるものが生まれてきたように思う。

 汗や愛液や精液といった液体系の書き込みが、ちゃんと汁として認識できるようになり、エロを高める武器になり始めているのも、向上ポイント。前も、汁分は割と過多なほうだったけれど、なんだか水をぶっかけられてやってるような、汁ベトベトというより水浸しな感じだったので。また、ここまで精液がとめどもなく溢れ続けるエロマンガも、久しぶりに読んだ気がする(精液過多症みたいな設定なしで)。



 ここ2、3年で言うと、東雲のほかには大井はに丸井上よしひさあたりが、阿吽誌上でめきめき腕をあげていっている代表格のように思うが(師走の翁のブレイクはそれこそもっと前)、力をあげてこれている要因の一つに、阿吽の編集方針として、読み切りであるにしても、きちんと起承転結を持たせた筋立てを作品の中に盛り込めるよう、平均して20P代後半から30P代前半のページ数を一つの作品に割いてることがあると思う。巻頭作品なら、40〜50Pは当たり前に割り当ててる。

 ページ数を多めに使えれば、エロ度が増すという単純なものでもないが、Hシーンに入るまでの前段、起承あたりの話運びには、それなりにページを使うことができるようになる。

 ここにエロをさらに詰め込むもよし、キャラクターや世界観を説明するもよし、作家によって使い方はそれぞれ異なるけれども、一般的なページ数が16〜18Pとすると、増えた10数〜20数ページで、その作家なりの個性がよく見えてくることもある。

 それは自分が阿吽を購入し始めた8年前くらいから、変わらない方針として今もあるようで、そこのところは、師走の翁が購入動機にならなくなってしまい定期購読をやめた今の自分にとっても、頼もしいこととしてまだあるのだ。


Swing Out Sisters (TENMA COMICS)

Swing Out Sisters (TENMA COMICS)