今日のPickUp ―― 「新作(30円)」「松文館指定」「のら犬」「電子利益率」「ひらこー」「Pixivマンガ」
- 佐藤せんせーの言う新作(30円)は、「雑誌に掲載された、まだ単行本になっていない原稿」のことだった。「雑誌→WEB→単行本」という順番で、自分が期待していた「WEB→単行本」という、WEB書き下ろしの新作(30円)ではなかった。分かりやすく言うと、今年の春頃にスピリッツに掲載された作品を、秋にWEBで新作(30円)として出すものだった。すでに原稿料を回収した作品を新作(30円)などと言われても、戸惑ってしまう(原稿料ではなく雑誌に1度だけ掲載するための掲載料だと反論されそうだが感覚的に)。それでは紙媒体からのリサイクルに過ぎない。作品のわんそーすまるちゆーすとは言いづらい。現状の新作(30円)、旧作(10円)のWEB有料配信は、せいぜいが原稿料のこれ以上の値上げが難しい分や印税の引き下げを補填できるかどうか、くらいにしか受け取れない。また、単行本化に先んじた配信だって、佐藤せんせーのような力とやる気のある作家でないと難しい。他の作家にもシステムを開放するという意気込みに、今のところスローガン以上のものを感じない(もちろんこれは期待の裏返しだ)。
- 出版倫理懇話会に加盟した松文館のTL誌「ガールズポップコレクション バーニングラブ vol.33」が、都から不健全図書指定。どっちが卵で鶏なのか、そもそも直接の関連があってのことなのか、読みづらい。
- ZINのサイン会は、「著者初」「ちょいマイナー作家/作品」というケースが多いなぁとは感じていたけど、結構同業者に気ぃつかってんのねと、のら犬兄弟を聞きながら。
- ようするに現状の電子コミックは、作家にとっては、売れなきゃカネにならないのは紙媒体と同じだと。かつ、利益率は紙媒体と同じか、より低いケースが目立つ。モー2編集のコメントは"儲かるかどうか分からないからロハで協力させる"というふうにしか聞こえず、そもそも商売をやる気があるのかどうか疑う。「もう一つ、電子書籍で見過ごせないのが二次使用権の問題である。通常は出版社と著者間の取り決めは紙の媒体に限られ、電子書籍化など作品の二次使用の許諾権は著者が持っている。ただ、自前で版権管理ができる大物作家ならともかく、普通の作家は創作活動が手いっぱいで版権管理まで気が回らず、結果的に出版社任せにしてしまいがちだ。電子書店側でも「著者と直接交渉するのが筋だが、出版社でないと連絡先がわからない著者もいて、大量に仕入れようと思ったら出版社経由にするほうが楽」(イーブックの鈴木社長)と言う。鈴木氏は「電子化や配信のコストは当社が負担しているのに出版社は売り上げの3割を取ってしまう。その何%が著者に支払われているかというと、印税と同じでせいぜい10%程度にすぎない。当社が著者と直接契約するときは通常24%支払っている」と不満気だ。講談社の漫画雑誌『モーニング・ツー』は今年5月から雑誌発売と同時にネットでも同じ漫画が読めるサービスを始めた。これに対して著者に使用料は払われていない。むろん出版社側にも言い分はある。「ウェブ公開は無料なので、あらためて掲載料を支払うことはしない。ちなみにアイフォーン版は有料販売だが、今までの漫画コンテンツの販売実績からいって、ごくわずかの売り上げしか見込めず、そこから利益が上がると考えることは現段階では非現実的。利益と呼びうるほどのものが発生したら、その時点で作家さんとの利益配分を考える」(『モーニング・ツー』の島田英二郎編集長)。」。
- 当たり前なんだけど、ちゃんとした文章も書けるんだな。
- Pixivが始めたイラスト切り替え機能でマンガぽっく見せるサービス。以前から個人サイトなどでは普通に見られた機能で、自作のマンガを同じような方法で公開しているところは多い。だから正直微妙……という印象があったものの、やはりこれだけの作品を一覧できるその物量には圧倒される。よく知った作家の作品や知らなかったけれどもおっと気になる作品が目に留まったり、数が集まり整理されることで新たな意味合いが出てくる。
なかせよしみ「遠近法講座1」
大沖「美味しくないんぼ」
水あさと「つかさマーマレードその1」
プロ猿ファー・ゴル(=上山道郎)「ユーレイちゃん」
神月「リトマンサーミレス」
ゆきひろゆき「超人気!!!!!!!」
asahi「姫の青いアレ」
マロン「風の乱 第2話(後編)」
もちまちあおの「とある魔王」
大阪花之子「こみトレ新刊、「虎の穴」にて販売決定!!」
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- それでは、このイラスト切り替え機能がつく前は、マンガ(的な作品)をPixivで公開する際、どのような手法が見られたかというと、一番よく見られたのが、上下スクロール方式になる。
J村「【PF?】召喚大作戦?あなたに会えて良かった【ギガンダル】」
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=4096385
器械「レクイエム」
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=4246764
v-y-u「【PF?】Mother.5」
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=4213808
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- この上下スクロール方式には、新しい可能性を見ていたので、イラスト切り替え機能の導入で上下スクロール方式が廃れてくるようなら、ちょっとだけ残念だったりする。なぜかというと、上下スクロール方式を採用した幾つかのマンガ(的な作品)は、ページ単位で描いたマンガを上下で繋ぎ合せたものではないケースもあったから。上下に長く伸びた作品が、途切れなく一枚の巻物のようにつながった物語として構成されているものがあり(紹介した3作品はそのケース)、紙媒体・ページ単位を前提としないWEBにマッチしたマンガの形式が表れてきているのかなあと感じていた。WEBにおけるマンガ公開が日本より一般的な韓国では、上下スクロール方式で読ませるほうがスタンダードらしいけれども、日本でもそのような方向になるかもしれないと。一方で、Pixivで公開されてる上下スクロール方式のマンガ(的な作品)のほとんどには、[マンガ]のタグが見られない。どうもマンガではなく、イラストの一種として公開され、読み手もそのように捉えているらしい。つまり、Pixiv上でマンガを読んでもらいたいがための自然発生的選択とか苦肉の策という訳ではないらしい、というところも面白いと思う。
- ……なーんてことを語ってみたりした後に、こちらを見つけた。今日のところはそちらの勝ちだ!
- この上下スクロール方式には、新しい可能性を見ていたので、イラスト切り替え機能の導入で上下スクロール方式が廃れてくるようなら、ちょっとだけ残念だったりする。なぜかというと、上下スクロール方式を採用した幾つかのマンガ(的な作品)は、ページ単位で描いたマンガを上下で繋ぎ合せたものではないケースもあったから。上下に長く伸びた作品が、途切れなく一枚の巻物のようにつながった物語として構成されているものがあり(紹介した3作品はそのケース)、紙媒体・ページ単位を前提としないWEBにマッチしたマンガの形式が表れてきているのかなあと感じていた。WEBにおけるマンガ公開が日本より一般的な韓国では、上下スクロール方式で読ませるほうがスタンダードらしいけれども、日本でもそのような方向になるかもしれないと。一方で、Pixivで公開されてる上下スクロール方式のマンガ(的な作品)のほとんどには、[マンガ]のタグが見られない。どうもマンガではなく、イラストの一種として公開され、読み手もそのように捉えているらしい。つまり、Pixiv上でマンガを読んでもらいたいがための自然発生的選択とか苦肉の策という訳ではないらしい、というところも面白いと思う。
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おでんライス「シャイニング&ザ・ダクネス」