少年シリウス 1月号

新連載・巻中カラー「ゆうやみ特攻隊」(押切蓮介

 3号連続のホラーマンガ特集「真冬の怪奇宴」シリーズ1回目の目玉作品。昨年5月に創刊して、初の大々的な企画になる。それがホラーはちょっと冒険。「未来は今日の冒険から!!!」がキャッチコピーのシリウスにしたって。
 男子トイレで告白したものの振られてしまい、そのショックからその場で自殺した女生徒の幽霊が出るので退治して欲しいとい依頼を受けた心霊探偵部の活躍を描くホラーギャグ1話目。ヤツメウナギのような口を開いて襲い掛かる女生徒の怖さ、アッパーで反撃する探偵部部長の女子のヒロイックさ。怖いのはイヤなんだけどちょっとおののきながらでも面白いマンガは読みたい、というヘタれなこちらの事情を察してくれたような、うまいバランスの取れ具合。なかなかの滑り出し。
 まずは1ポイント……、なんだが、後に続く作品が、多少どころじゃなく物足りない。


読切「木守り」(作画:木静謙二、原作:木原浩勝

 セミリアルタッチの絵柄は絶対、ホラーに合うと期待していて、それは怨念を残して死んで右手に執着する少女の目を引ん剥いた絵なんかで確かに一部、達成されてはいるんだけど、原作が。これ、怖いか……? 怖いとか以前に、話が落ちてないだろ。「あの怨念の正体が一体何だったのか」「子守りがどうなったか知る事はなかった」って。なんで、数ある中からこんな中途半端なブツを選んできたのか。文章では怖かった? 木静の腕が泣いてるぜ。


読切「ツクコエ」(中村恵三朗)

 新人賞佳作受賞作家による読切。
 路上ライブからデビューすることになったデュオだが、作詞作曲してる片方だけがデビューという話のせいで仲間割れになり……。
 尺が18Pと足りないせいかのか。それとも、おそらく作者がホラーを描いたことがないからなのか。まだ新人の実力だから、というのが適当か。先が読めてしまうのが致命的。


読切「6年2組 佐藤あやか」(森ふみ)

読切「その瞳にうつるもの」(マツオユキタカ)

読切「バスルーム」(大関やすただ)

読切「サンタ」(金子十一屋)

 この4作品は前号の予告になかったもの。特選ショートホラーという括りで掲載。企画のついでに新人に露出の場を与えたということだろう。が、どれもマンガとして二歩も三歩も足りてないものばかり。もしやるとしても、企画の1回目でやることはなかった。この程度かよ、と足元を見られかねない。


「あくはむ」(新居さとし

「圏外です」(いちば仔牛

 「怪物〜」は元々ホラー風味なのでそのまま、「あく〜」「圏外〜」はホラー要素を織り込んだ上で、企画の中に括っている。どれも、いつも通りのレベルで読めるんだけど、それで企画の内容を高めて評価するかというと、そうは。



 やはり、木静の読切が期待はずれに終わったことと、新人の中村の読切が今ひとつ過ぎたことが痛い。次号の、イダタツヒコの読切は安牌で読める……と思うが、「聊斎志異 アナザースタイル(仮)」のタイトルで新人賞出身作家を中心としたアンソロジー的な企画が、今回のようだとちょっと。巻き返しを図れるか。





 次号予告(http://www.sirius.kodansha.co.jp/2007yokoku.html)から。1月発売号に登場の志村貴子は原作つき新連載。藤野千夜の「ルート225」。映画上映中のパプリカのマンガも4月号以降でスタート。作画は坂井恵理ミスマガ連載中断の荻原玲二版は、比べる人いるかどうか怪しい過去の話なので、まあノビノビやってください。というか、Zでなくシリウスでやるんだ。Zの今後がちょっと。






新連載・表紙・巻頭カラー「XBLADE」(作画:士貴智志、原作:イダタツヒコ

 ヤンマガ海賊版(95年休刊)でやってた「BLADE」(イダタツヒコ)の続編(らしい)。昔「BLADE」を担当してた編集がシリウスに配属されて立ち上げた連載なんだろうか。日本刀に女性が宿って(女性が日本刀化か?)、所有者の男と生き死にを共にするという伝奇風味ファンタジー。初回の勢いの良さは「神風」の時と同じ手応え。ただ、「神風」は話が分かりづらくなってだんだん読まなくなっていってしまったので、そのあたりはイダにリードしてもらいたい。作画は「神風」を5割り増ししたくらいにさらにレベルアップしている。


「龍眼」(藤山海里)

 はい、新シリーズ突入で、もう完全にドラクル関係なくなってきました。けど、組織内の思惑がどーたらこーたらのほうが面白いので正解。あと、D.M.C.の所属事務所の女社長みたいな新キャラが出てきてゾクゾク。


「Dear Monkey 西遊記」(白井三二朗)

 毎度毎度震えさせくれる……。えー、ベタですよ、それが何か? とにかく読め読め。


「乱飛乱外」(田中ほさな)

 ストⅢか別の対戦格ゲーに、こんな女子レスラーが出てこなかったっけ? あと、柴山薫のマンガとかでも。レスラー衣装を着せられたせいか、前号まで比較でバストサイズが2カップ分くらいアップしてるような。good。


「ZeRonの火蓋」(神宮寺一

 ヤバイ。タコメーターを振り切ったまま、このメリハリの無さは。切られかねない気配。突っ走り過ぎ。ギアを落とせ。


「ソウルメイトツーリスト」(作画:ふる鳥弥生、原作:根本新)

 「「短い髪もかわいい・・」」。シンクロしました。


読切「エンジェルバンク」(和泉蒼司)

 新人賞佳作受賞者。「スターゲイザー ロボとうさ吉外伝」が落ちたので、その代原(だよな?)。11月発売予定だった本編5巻が12月に延期したことと関係あるのかしら。*1
 ほのぼのでちょっとしょっぱい青春グラフティ。名前は覚えた。



*1:http://www.sirius.kodansha.co.jp/contents32.html ←5巻の書き足しと外伝反応のリサーチと読者プレゼントの色紙書きのためお休み。